ざわざわ
いつも、あたまのなかには、ざわざわってこえが、きこえていた。
だから、いつも、れごでくっぱじょうをつくったらどうなるかなとか、きょうのやすみじかんはあのことあそぶんだとか、いっぱいかんがえごとをしていた。
「やえちゃん、なにしてんの?」
「あたまのなかで、くっぱじょう、つくってる。」
「え。」
「さなちゃん、うさぎさんのいえ、いこう!」
「え、わたし、ゆきちゃんとなわとびするんやけど…。」
いつのまにか、わたしはいつもひとりぼっちだった。
それでもいい。おかあさんと、おにいちゃんがいるから。
「やえさん、やえさん。」
「なにー?」
おふろにはいったあと、おかあさんが、わたしをよんでいる。いっしょにおえかきしたいな。きょうは、おひめさまをかきたいきぶん。
「きょうは、じっけんをしましょう。」
「じっけん?」
おかあさんは、すわって、めをとじたら、どんなかんじか、きいてきた。
「なんかね、ざわざわする。」
「どんなざわざわ?」
いつものざわざわやで。
「そっか。そのざわざわ、『ざわざわしているなー』っておもいながらほっておいたら、どうなるんかな?」
え?ざわざわしているの、ほっておいていいの?うーん…。
…あれ?
「なんかね、ちいさくなってきたよ。」
「そっかそっか。じゃあこんどは、すって、はいて、ってしているいきは、どんなかんじ?」
そういえば、わたし、いき、してたっけ!すう、はあ、すう、はあ。
「あ、すうとつめたくて、はくとあったかいよ!」
おかあさんは、それをそのまま、あじわってみようっていった。
すう、はあ、しているだけでも、おもしろいね!
いつもあったざわざわは、すうはあ、すうはあ、していたら、いなくなっていた。ざわざわしないって、すっきりするね!
「山下家の話、聞いてくれはります?」
「あ、浜田先生。お疲れー。何かあったん?グレた?」
「違いますよ。八重ちゃん、落ち着いて授業聞けるようになったんですよ!お友達とも仲良く出来るようになって!」
「え、何したん?魔法?」
「私は何もしていないんですけれど、母いわく、寝る前にマインドフルネスの真似事をしています、って。」
「マインドフルネスってなに?」
「マインドフルネスって、あれですよ、瞑想みたいな。」
「ようわからんけど、ええこっちゃな。」
「八重ちゃんに聞いたら、『ざわざわが消えるよ』って言っていました。」
「余計にわからん。」
「発達さんとかやなくても、集中力が増したり、仕事の能率が上がったり…」
「彼氏ができたり?」
「あ、私は居るんで大丈夫です。」
「え、うそ、いつの間に?私は大丈夫ちゃうよ!」




