エスパー
今日はお休み。でも、平日なので子供たちは学校。日中は何をしようかな、と考えながら、朝ごはんの準備をしていると。
「お母さん!お母さんお母さんお母さん!」
マイフェアレディのけたたましい声が、家中に響く。何事か、大混乱している頭を撫でながら、そういえばこやつ、トイレに行っていたな、と思い至る。なるほど。生理が来たな。
「え?お母さん、エスパー?」
君がわかりやすいのだよ、レディ。
ふと、思い出す。
私の初潮のとき。母は、硬い表情で、そして小さい声で、ナプキンの使い方を説明していた。なんだか、自分がいけないことをしているような気になった覚えがある。
この子には、そういう思いをしてほしくないな。
そんなことを思いながら愛娘に生理について講釈を垂れて、ふと、時計を見ると、登校時間をとうに過ぎている。まあ仕方あるまい。
そうだ。たまには、娘と2人でデートなんてのも、良いじゃないか。
娘を助手席に乗せ、川沿いのショッピングモールへ。
生理が来ても、いけないわけでも、こそこそしないといけないわけでも、ないんよ。
そんなことを思いながら、いろんなものに興味津々な娘の後ろ姿を眺める。サニタリーショーツやスポーツブラなどを、目をキラキラさせて、可愛いと言いながら選んでいる。最後に寄ったドラッグストアでバスボムを見つけたときには、最大級に目が輝いていた。お前の方が可愛いよ、うん。
少なくとも今のところは、生理に対して卑屈な思いにはなっていなさそうで、一安心。
私と同じ轍は、踏んでほしくない。




