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お目覚め
ぐらぐらとする視界に白いものを認め、ホーリーはしばし戸惑った。
額に何かがのっている。
本来ならば払うところだが、思うように腕が動かない。
「 ―― お・・い・・・ 」
「あ!ホーリーさま!目が覚めましたか?」
嬉しそうな顔が、のぞきこむ。
「・・・はうあー・・・」
「はい!」
「・・・・・・」
果たしてこの馬鹿に聞くべきかどうか、もうろうとした意識の中で迷う。
よかったよかった、と歌うように、額にのせた布を取り上げる使用人は、新しく水で絞った布を、またしても額にのせる。
「・・やめろ」
「 え?でも、熱がひどいんですよ。汗がひかないんです。 あ、お水のんでください」
たしかに、体中があつい。
唇にぬれた布をあてがわれる。
ゆっくりと口元を湿らされ、それから細い管のついたガラスの容器から水を与えられた。
くすくすと誰かが笑う。
「あのホーリーが、病人になるとはね」
水を与えていたハウアーが振り返り、ジャックさまホーリーさまがお目覚めです、と、わかっていることを報告した。
「・・・ほんとうに、目覚めたねえ・・・」
のびきった口元をゆるめた男が視界に入る。




