好き嫌い
「あ。わかった」
いいことを思いつき、ハウアーは立ち上がったままで手を挙げた。
「 ごしゅじんさま! あの、この野菜は、《クアット種族》以外の種族、の、誰かにもらいました! 」
勢いよく主張した相手を冷めた目で見た男は、そのまま席を立つ。
「 ―― なるほどな。そういうことか。それならいい。 ハウアー、てめえ、意外と頭がいいじゃねえか」
「え?っそ、そ、そうかなあ?」
人にこんなふうに言われたことがないので、ハウアーは真っ赤になって照れた。
それを見ておもしろそうにホーリーは続ける。
「いいか?ハウアー。これみたいに、《クアット種族以外のやつ》からもらったもんは、ちゃんとおれに教えろよ? ―― そんで、たとえおれが口にしなかったとしても、おまえがおれの代わりに感想を伝えるんだ。 ―― なにしろおまえは、おれといっしょに食事をしてるんだから、お前の感想は、おれの感想みたいなもんだ。 お前の感想の前に、『ホーリー様は』ってつけるだけでいい。 わかったな?」
「は、はい!」
嬉しそうに返事するハウアーに、ゆったりとほほえんだ男が片手をあげた。
「お茶と、パンだけでいい。はやくもってこい」
ホーリー様は、おいしいものでも好き嫌いが激しいな、とハウアーは覚えることにした。




