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携帯は魔法杖より便利です 第5部 歪な共生  作者: 武部恵☆美
第2章 違いを知るためには
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第30話 行儀の良し悪し

「お帰り。流せたかい?」


 アニカが出ていたら……か。

 それはそれで似合うだろうな。

 なんだかんだ言っても魅力の一部になるだろうし、人だけが持つ特徴らしいし、性的アピールであることに違いはない。

 それが大きいということは、性的アピール力も自然と大きくなるわけで……


「モナカくん? 流せなかったのかい?」

「いや、流せたよ。ちょっと考え事をな……この上アニカまで出ていたらと思うと……」

「〝出ていたら〟?」

「あーすまん。忘れてくれ」


 やべっ。

 思わず口から出てしまった。


「? そうかい」

「痛っ!」

「バカなこと言わないの」

「っはは」

「みんな、ご飯の用意が出来たよ」


 お、ナユダさんが夕飯の用意を……え?

 床に直置き?

 テーブルは?


「どうかした?」

「あ、いや……その」


 周りを見渡してもみんな同じように床に皿を直置きにしている。

 それがさも当たり前だといわんばかりに、皿を前にして床に座っている。

 どうやらここではこれが当たり前らしい。


『こういう感じは初めてだな』

『うん。ボクも初めてだよ。床に置き始めたとき、ビックリしちゃった』

『ここではこれが普通なんだな』

『そのようですね。実に興味深い』

『あ、ナームコ、食べても大丈夫なのか? 前回みたいな危険性はないのか? 後いい加減離れろ』

『そうでございますね……食べても問題は無いのでございます』

『ここの人たちが冒されてないので、問題は無いでしょう』

『そっか。よかった。後簀巻きにされたくなかったら早く離れろ』


 くっ、今日はいつになくしつこいな。

 簀巻きが通用しないぞ。

 ったく。本当に簀巻きにするぞ。


「よし、それじゃ座ろうか」

「パパ、お行儀悪いよ」

「ここではこれが普通なんだ。だからいいんだよ」

「ふーん」

「なんか変だった?」


 お、緊張が取れたのかな。

 普通に話せているぞ。


「あー、俺たちは床に置いて食べる習慣が無いんです」


 遠足とかピクニックの時くらいじゃないか。

 運動会とかもか。


「え? どうやって食べるの?」

「机に並べて椅子に座って食べるのが一般的かな」

「机……作業台に載せて食べるのか?! それは行儀悪いな」

「そうなのか?」

「机は仕事をするためのものだから、そこで食べるのは無いよ」

「そ、そっか」


 机は仕事専用なのか。

 確かにここには机が見当たらない。

 こんなにも違いがあるなんて思わなかったぞ。

 まだまだありそうだな。


「とにかく食べようよ。私お腹空いちゃった」

「そうですね」


 周りを見ると、仕度の出来たところから食べているみたいだ。

 みんなで揃って一斉に……じゃないのか。


「アニカ? どうした。早く座ろうぜ」

「だって、お尻が……」


 あー、まだ痛いんだ。


「我慢しろ」

「うう……」

次回は萌え萌えキュン☆

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