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猫にひかれて異世界生活  作者: PYON48
第一部 猫に引かれて異世界へ

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(シリュウサイド)


 わたしを突き飛ばしたガーレンはそのままの姿で固まる。


「ガーレン!!!!」

 呼びかけても返事はない。

 毒に侵されているのか、その顔はドス黒く変色し、その目は濁っている。

 ガーレンはその姿で往生しているのだ。

 ただ、その口元は、すこし笑っているようにも思える。

 どうして?


「ガーレン…」

 

 なんなんだ……


 急に目の前にピンクのドアが現れて、出てくる若者…

 そして、その腕の中には黒いニャニャー…

 

 白いのは、その姿を見たとたん、嬉しそうに飛びつく…


 あの、我々を滅ぼした悪魔がだ…


 あまり強そうにみえない平凡な男だ。


 しかし、あの悪魔を2匹も使役するとは、かなりの実力者なんだろう。


 その上、男の足元には、わらわらと茶色や灰色や白茶や白黒茶が集まってくる。


 6匹もいるのか???


 あの、1匹で我々を滅ぼした悪魔が…


 敵うわけがない。

 敵うわけがないのだ!


 男は困った顔で私に頭を下げる…


「うちの猫がどうもすみません…」


 わたしが負けたのに…男はわたしに謝るのだ。


 器が違うのだ。


 考えてみれば、わたしは皇帝になんてなりたかったのではない。

 少しばかり強かったわたしをまわりが持ち上げたのだ。

 冒険者として、みんなにいい格好ができればそれでよかった。

 酒を飲んだらすこし気が大きくなるわたしが、酒の席で今の世界について一席ぶった。

 ただ、酒の上での戯言なのだ。

 よくいるだろう、酒を飲んでたいしたこともないのに、人生・哲学・政治を語りだすおっさんが。

 あのレベルなんだよ。翌日には本人が忘れてるレベルの戯言。

 それが、セイレンたちによってひとり歩きし始めたのだ。

 気がついたときには、もう、引くに引けなかった。


 わたしも、いい気になっていた部分はあるのかもしれない。

 しかし、この目の前の男…

 いままで会ったどんな漢なんかよりも大きいのだ。

 底が見えないのだ。

 こういう男が世界をかえるのかもしれない。


 そして、この平凡な風貌の男に、わたしは怯えるしかないのだ。

 それがわたしの器だ。


 もう、無理だ。


 わたしはニャニャーと男に背を向けて、一目散に逃げるしかなかった。

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