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(教皇サイド)
「今、この国は山賊の脅威にさらされています」
わたしは目の前の貧相な若者に言う。
「はい???」
若者は、気のない返事をする。
ほんとうに、さっきから何を考えているのかわかりません。
このミーニャ教の最高位の地位がいらないのでしょうか?
だったら、なんでここに来たのでしょうか。
家をかしてほしい?
それなら、不動産屋にいけばよいのではないのでしょうか?
「それで、伝説のニャニャーさまに、この危機を救ってほしいのです」
「どうやってですか?」
「伝説ではニャニャーさまは、この国をいろいろな苦難から救ってくれました。
オーガ、ドラゴン、魔族、帝国軍…
それで、今、この国は最強の山賊団に狙われています。
たぶん、神はそれを憂いて、ニャニャーさまを遣わせてくれたのだと思います」
「ぼくたちに戦えと言うんですか?」
初めて、若者の顔に感情が現れる。
そうだ、感情を顕にしなさい。
わたしの手の中で踊らせてあげましょう。
こんな、変身魔法を使うかぎり、そうは見えないが凄腕の魔法使いなんでしょう。
それに、さっきからのアナライズが全然通らりません。
わたしの魔法が通らないような魔法障壁を作り出しているのでしょうね。
こう見えてもわたしもミーニャ教ではニャーニャに次ぐ魔道士なんですがね。
「ええ、ニャニャーさまなら簡単なことではないでしょうか」
「ニャー」
ニャニャーは神官の肩に飛び乗ってなにかを神官に伝えようとしている。
これだけ見ても、こいつは子供の変身だ。
もしかしたら、この子供がすべてを操っている黒幕かもしれません。
油断大敵です。
「ニャニャーさま、山賊団を滅ぼして、憐れな我々をお守りください」
さあ、これでおまえたちは戦わなくてはならなくなりました。
もし、断れば、ニャニャーじゃないということになるんですからね。
「断る!」
考える間もなく、若者は返事する。
「えっ?」
「ぼくには猫を戦わせるなんてありえないです。
家は他で探します。
シャールごめんね。せっかく連れてきてくれたのに…」
若者はわたしに背を向ける。
その肩の上から、黒いニャニャーが、わたしを睨みつけるように威嚇していた。




