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きみがわらってくれるなら  作者: カノウラン
5/9

天使とカレ 1

あいしているよ。

きみを、あいしているよ。

きみが『喜び』をくれたから。

ぼくは、永遠にあの『喜び』を味わっていられる。

だから、きみにも、もっともっと、『喜び』を味わってほしいんだよ。

なのにどうして、そんなにも、カレを想うの?

きみがそんなに想っているのに、ほら、カレはデートの最中に眠っちゃうようなおとこだよ?

べーす、とかいうものを、きみよりも大切におもっているんだよ。

それをきみも、知っているはずだろう?

知っていて、いつもさみしい想いをしているじゃない。

それでも、きみは、カレを選ぶの?

どうして、カレを選びつづけるの?

ぼくが、こんなにも愛をそそいでいるのに。

どうして、きみはいちどもぼくを見てはくれないの?

ぼくの愛のシグナルに、いちども気づかず、カレを見てばかりいるの?

そんなにも、かなしいきもちになるくせに。

きみがかなしいと、ぼくもかなしい。

きみがつらいのは、かなしいよ。

きみがかなしいと、ぼくはつらいんだよ。

わらってほしいのに。

きみがわらってくれるなら、どんなことでもしてあげるのに。

ほかの出会いを、あげるよ。

もっと、すてきな出会いを。

きみのこころが、ぽっ、とあたたかくなるようなひととの。

きみをうれしいきもちにさせるものも、もっと、きみの目の前に運んできてあげる。

ちゃんと、シグナルを送るよ。

肩を叩いて、おしえてはあげられないけど。

風が、きみの肩をかわりに叩くよ。

耳ではなく、こころに、声をとどけるよ。

ちゃんと、聞こえるはずだよ。

カレしかいない、なんておもわないで。

きみをあいするものは誰もいないなんて、そんなことはおもわないで。

きみを、あいしているよ。

いつも、いつまでも、どんな瞬間だって、きみをあいしているから。

誰もいないなんて、いわないで。

ぼくを、いないことにしないで…………




「────雨?」


ぽた、ぽた、と頬に落ちてきたしずくに気がついて、マサキは目を開けた。

と、そこにぼんやりと浮かぶ白い影に気づく。


「おわっ。な、……鳥?」

『ねえ、どうして…………無視するの?』

「うっわ! しゃべった!」


白い影は、広げたつばさに見えてきた。

それを持つのは、ひかりのかたまりに見える。

声は、澄んだ鈴のようにあたまにひびく。

だから、子どもの声のようにも聞こえた。


「ユーレイか? あ……それか、天使?」


口にして、そんなわけあるか、とマサキはわらった。

横にはサヤカが座っていたはずだが、ふしぎとそちらを向くことができない。

首だけではなく、手足も、ちらとも動かせなかった。

ことばだけは、知っている。

これは、いわゆる、金縛りという現象だろう。

マサキは、もういちど、ひかりのかたまりを見つめた。



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