兄弟喧嘩
遊女 阿弥
5人の殺人鬼の前に現れたその少年は
完膚なきまでに5人を縛り上げた。
勿論、彼を除く誰一人として動けなかった。
呪井 無病の唯一の用心棒
彼の任務は既に数日前から始まっていた。
『遊女、久しぶりの依頼なんだが』
『ふっ、そろそろ逃げてやろうかと思ってたのに』
『まあまあ、そんなこと言うな。
呪井 無病の名に泥を塗るようなことはしない』
『俺を雇ってる時点で汚れてるぜ、あんた』
『うるさい、そんなことわかってる』
『へいへい。んでどんな依頼だい?』
『娘を殺してくれないか?』
そんな会話を交わしたのは四日前のことである。
娘を殺してくれないか
その言葉は百戦錬磨の殺人鬼にも異常さがわかる程
異常で冷たく、何より恐ろしい言葉だった。
そして三日前。
どうやら身空シドの所へ、娘が依頼しに行くという情報を得た遊女は
身空シドと《例の男》と遭遇し、対峙する。
その時、遊女は確かに
自らの父の面影をその《例の男》から感じた。
遊女の父、遊女 閂は密かに
彼に伝言をのこしていた。
《お前には兄貴がいる。普通で普通な男だ。》
彼は確信していた。
《例の男》と出会ったその瞬間。
それから溢れ出る甚だしい殺意を
父のそれを上回る夥しい殺意を
いやがおうにも感じていた。
そして本日。
彼は実力をもって5人の殺人鬼を支配下に置いた。
「お前ら5人は《兄弟喧嘩》を邪魔するシドクンの子守だ....
社長サンは仲良く《親子喧嘩》でもしておいてくださいよ」




