第25話 エンディングは、続きの始まり
朝礼デモの翌日。
旧準備室は、いつもと同じ静けさに戻っていた。
蒼
「……なんかさ。
昨日あんなに盛り上がったのに、
今日めっちゃ普通じゃない?」
理人
「まあ、学校なんてそんなもんだろ。
イベントは一瞬で終わる」
真
「……終わると、静か」
蒼
「毒島くん、それ寂しくない?」
真
「……ちょっと」
理人は机に置かれた“ココ”を見つめる。
理人
「でもまあ……
昨日の反応は悪くなかったな。
先生も褒めてたし、
生徒も“すげー”って言ってたし」
蒼
「うん……
なんか、夢みたいだったよね」
真
「……夢、終わった?」
蒼
「いや、終わってないよ。
でも……なんかこう……
“燃え尽きた感”あるよね」
理人
「わかる。
目標に向かって走ってるときが一番楽しいんだよ。
達成した瞬間って、案外静かなんだよな」
蒼
「……あぁ、恋したいなぁ」
理人
「急にどうした」
真
「……恋?」
蒼
「いや、なんかさ。
青春ってこう……
もっとキラキラしてるもんじゃないの?」
理人
「いや、ロボット作ってる時点で十分キラキラしてるだろ」
真
「……科学愛は揺るがない」
蒼
「毒島くん、名言すぎる」
理人
「まあ、恋は……
そのうち勝手に来るだろ。
ロボットは待ってくれないけど」
蒼
「それも名言じゃん!」
真
「……ロボット、今日も動く?」
理人
「動かすぞ。
昨日のデモで負荷かかったし、
センサーの調整もしないと」
蒼
「よし、じゃあ今日もココと向き合おう!」
真
「……うん」
三人は机を囲み、
ココの配線をそっと外し、
工具を並べ、
いつもの作業を始める。
昨日の拍手も、
先生の言葉も、
生徒たちのざわめきも、
もう遠い。
でも――
蒼
「……なんかさ。
こうやって三人でココ触ってる時間が、
一番好きかも」
理人
「わかる。
結局ここに戻ってくるんだよな」
真
「……ここが、好き」
蒼
「毒島くん、それ反則……!」
理人
「まあ……
ロボ研は今日も平常運転ってことだな」
蒼
「うん。
恋は……まあ、いつかでいいや」
真
「……科学は、今日」
理人
「よし、作業再開だ」
三人の笑い声と工具の音が、
旧準備室に静かに響く。
その音は、
“終わり”ではなく、
“続き”の始まりだった。




