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オタク合体ロボ発進…きっとできる…かな…たぶん…  作者: 双鶴


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20/25

第20話 軽量化地獄

旧準備室。

昨日倒れたロボットが、胸と肩の外装をつけたまま横たわっている。


蒼

「……昨日の倒れ方、ちょっとショックだったなあ」


理人

「いや、あれは倒れるだろ。

 胸と肩を盛りすぎたんだよ」


真

「……でも、かっこよかった」


蒼

「毒島くん、それはわかる」


理人

「いや、わかるのかよ!」


蒼は胸パーツを手に取り、

光に透かしてみる。


蒼

「でもさ、これ……

 “軽いつもり”だったんだけどなあ」


理人

「軽いつもり、が一番危険なんだよ。

 軽量化は“感覚”じゃなくて“数字”でやる」


真

「……数字、大事」


蒼

「毒島くん、数字好きなの?」


真

「……嫌い。でも大事」


蒼

「毒島くんの価値観、深いなあ」


理人はノートを開き、

外装の重量を計算し始める。


理人

「胸パーツが80g、肩パーツが左右で120g。

 合計200g。

 これが全部“上半身”に乗るんだから、

 そりゃ倒れるよ」


蒼

「200gってそんなに重い?」


真

「……重い。ロボットには」


蒼

「毒島くんの“ロボット基準”は信用できる」


理人

「じゃあ、軽量化の基本を教える。

 “削る・抜く・薄くする”。

 この三つだ」


蒼

「なんか料理みたいだね」


真

「……料理、焦がした」


蒼

「毒島くん、家庭科の卵焼きの話まだ引きずってるの?」


理人

「いや、あれは焦げすぎだっただろ」


真

「……黒かった」


蒼

「黒かったんだ……」


理人は胸パーツを手に取り、

指で軽く叩く。


理人

「この厚み、半分でいい。

 強度はギリギリ保てる」


真

「……削る」


蒼

「毒島くん、嬉しそうだね」


真

「……削るの、好き」


理人

「知ってる」


蒼は肩パーツを見ながら言う。


蒼

「肩の丸みも、もう少し薄くできるかな?」


理人

「できる。

 丸みを保ったまま、内側をくり抜けばいい」


真

「……くり抜く」


蒼

「毒島くん、語彙が職人」


理人

「じゃあ、軽量化作業開始だな」


真は工具を手に取り、

胸パーツを削り始める。


キィィィィィン……!


蒼

「おお……音がもう“工房”だよね」


理人

「毒島の削りは精度が高いからな。

 プラモで鍛えられてる」


真

「……プラモ、好き」


蒼

「毒島くんの“好き”は今日も安定してる」


理人は削られたパーツを持ち上げる。


理人

「お、30g軽くなった。

 これなら重心もそこまで上がらない」


蒼

「30gってそんなに違うの?」


真

「……違う。全然違う」


蒼

「毒島くんの“全然違う”は信じる」


理人

「じゃあ、肩パーツも削るぞ」


真

「……任せて」


蒼

「毒島くん、頼もしすぎる」


三人は黙々と作業を続ける。

削る音、計算する音、スケッチを描く音が重なり、

準備室が“工房”のような空気になる。


しばらくして――


理人

「よし、軽量化完了。

 胸パーツは80g→45g、

 肩パーツは120g→60g。

 合計で95g軽くなった」


蒼

「半分以下じゃん!」


真

「……軽い」


蒼

「毒島くんの“軽い”は最高の褒め言葉」


理人

「じゃあ、取り付けて立たせてみるか」


三人はロボットに外装を取り付け、

そっと立たせる。


ロボットは――

ぐらりと揺れたが、

倒れなかった。


蒼

「立ったぁぁぁぁ!!」


理人

「立った……!

 軽量化、成功だ……!」


真

「……かわいい」


蒼

「毒島くん!?」


理人

「いや、でも気持ちはわかる」


蒼はロボットを見つめながら言う。


蒼

「なんかさ……

 “生きてる”って感じするよね」


理人

「まあ……形がついてくると、

 そう見えるよな」


真

「……もっと、作りたい」


蒼

「毒島くん、それはわかる」


理人

「じゃあ次は――

 “顔”だな」


蒼

「ついに来た!」


真

「……顔、好き」


蒼

「毒島くんの“好き”は世界を救う」


理人

「救わないだろ!」


三人の声が、

軽くなったロボットの横で響いた。


その音は、

“次の議題”の始まりだった。


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