第18話 外装
旧準備室。
机の上には、昨日“避けて止まる”ことを覚えたロボットが置かれている。
蒼
「よし! 今日は“外装”を作る日だね!」
理人
「いや、外装とは言ってない。
“外装っぽい何かを考える日”だよ」
真
「……外装、作れる」
蒼
「毒島くんの“作れる”は信用できる」
理人
「いや、信用できるけど……
まずは“何を作るか”を決めないと」
蒼はスケッチブックを開き、
昨日の夜に描いたデザイン案を広げる。
蒼
「見て! これが俺の考えた外装案!」
理人
「……なんか、強そうだな」
真
「……かっこいい」
蒼
「でしょ!?
肩は丸くして、胸はちょっと厚めにして、
頭はこう……“ロボット感”を出す!」
理人
「いや、胸厚くしたら重心が死ぬ」
蒼
「出た! 重心警察!」
真
「……重心、大事」
蒼
「毒島くんまで!?」
理人はスケッチを指差しながら言う。
理人
「まず、外装は“軽くて強い”が基本。
見た目を優先すると倒れる。
倒れないためには、
“下重心・上軽量”が絶対条件」
蒼
「でもさ、見た目も大事じゃん?
ロボットって“夢”なんだよ」
真
「……夢、好き」
理人
「いや、夢は否定しないけど……
現実も見ろよ!」
蒼
「現実は見てるよ!
でも夢も見たいんだよ!」
真
「……両方、好き」
理人
「毒島の“好き”は万能だな……」
蒼はふと、今日の授業を思い出す。
蒼
「そういえば今日の美術の先生さ、
“形は機能に従う”って言ってたよね」
理人
「言ってたな。
“機能を無視した形は崩壊する”って」
真
「……でも、形も大事」
蒼
「毒島くん、それは名言」
理人
「いや名言じゃないだろ」
蒼はスケッチをめくり、
別の案を見せる。
蒼
「じゃあこれは?
もっとシンプルで、軽そうなやつ」
理人
「お、これは悪くない。
肩の丸みも控えめだし、
胸も薄いし、
頭も軽そう」
真
「……作れる」
蒼
「毒島くんの“作れる”は正義」
理人
「いや、正義って何だよ」
蒼
「じゃあ、これをベースにしようよ。
“軽くて、かっこよくて、倒れない”外装!」
理人
「まあ……このくらいなら現実的だな」
真
「……削る」
蒼
「毒島くん、削る気満々だね」
理人
「でも、削りすぎると壊れるからな。
バランス見ながらやるぞ」
蒼
「よし、じゃあ今日のテーマは――
“外装の三角関係”!」
理人
「いや名前がダサい!」
真
「……でも、いい」
蒼
「毒島くんの“いい”は世界を救う」
理人
「救わないだろ!」
三人は机を囲み、
スケッチ、工具、計算が同時に動き始める。
夕方の光の中で、
ロボットの“見た目”が静かに形になり始めた。




