女王学園の冒険153
メゾーレは考えた。
先に二人でエナを倒してからツェッペリンと戦っているニレ達の救援に向かうか、それともエナの相手をマイに任せて今すぐニレの救援に向かうか。
重要度で言えば間違いなくツェッペリンの方へ向かうべきだ。
ツェッペリンを無力化出来れば、そのままこの戦いを終わらせる事が出来る。
だからといってエナを無力化しないまま向こうへ加勢に行くのは、エナ本人の高い戦闘力を考えると後顧の憂いになる可能性がある。
そんなメゾーレの思考を知ってか知らずか、マイから声が掛かる。
「この子は私がやるわ……邪魔したら許さないから……♡」
マイは明らかに普段と雰囲気が変わっており、まるで怪しい薬でトリップしているような雰囲気だ。
マイの身体には蓄積されたダメージがあるはずだが、昏くて湿った視線は執念の様なものに満ち満ちており獲物を捉え続けている。
「えぇ何この子、怖っ……まあいいわ、じゃあここは任せるわよ?いいわね?」
「……はぁい♪」
メゾーレは片手を小さく上げて手早く簡素な挨拶をすると、そそくさとニレ達の応援に向かった。
「やっとふたりきりね……♡」
「チッ!変態女が…………たまたま上手くいった奇襲で調子に乗らないでもらえますか?」
「ふ、ふふ……やっぱりイイわ、貴女♡ わたしね、あなたの命乞いが聞きたいな♪」
「命乞いするのは貴女の方ですよ……私は貴女のみっともない命乞いなんて聞きたくもないで、先ず声帯から先に潰しますね」
先に仕掛けたのは息を整え終えたエナの方だった。
手負いながらエナの蛇腹剣の斬撃軌道はその鋭さを失ってはいない。
それどころか荒々しさを増している様にすら思える。
「シャアアアアアアアア!!!」
一方その頃、ツェッペリンの搭乗するドクロマシンと戦っているニレと恋は戦えてはいるものの攻め手に欠いており、膠着状態になっていた。
ニレが肉体変化でパワーを強化してドクロマシンの動きを抑え込むように立ち回っているが、恋だけでは攻撃力不足でドクロマシンの防御戦術や装甲を突破出来ていない。
「どうしたどうした!チャフの効果が終われば俺の勝ちが確定するのわかってるよなァ?そんな温い攻撃じゃ時間切れだぜ!?」
ツェッペリンは余裕の表情だ。
このままでは彼の言う通りチャフの効果時間が終わり、次元障壁が復活してしまう。
そうなれば一行の勝ちの目は完全に潰えるだろう。
焦った様子の恋が叫ぶ。
「チキショウ!こうなりゃ、一か八かブッこむしかねえか!?」
「いやいや、ブッこむって一体何するつもりさ?」
「ブッこみはブッこみだろ!?」
「あーハイハイ、つまりノープランって事ね……でもその必要は無さそうだよ?」
「あん?」
ニレが見た方向に目を向けると、メゾーレがこちらに向かって来ているのが見えた。
「二人共、まだ無事!?」
「あぁ、だが攻めきれてねえ!」
「ニレ!効果時間はあとどれくらい!?」
「時計見ながら戦ってた訳ではないので、大体ですけど……残り時間は一分前後ですかね」
「上等よ。二人共、一分で決めるわよ!」
指揮官の到着により二人の士気は向上し、決死のドクロマシン攻略戦が始まった。




