20話 力
言われた通りに並ぶ。先頭の冒険者がハンマーを持ち金属の板に向かって力強く叩きつけた。すぐ隣から金属の棒が上に向かって飛び出す。金属の棒の飛び出し具合で力を測っているようだ。レミーが本気でやっても大丈夫でしょうかと心配そうに聞いてきた。わざわざ冒険者ギルドを通しているから力自慢の高レベル冒険者がやっても大丈夫なくらいの強度はあるはず、本気でいいよと彼女に言う。実際凄い力で鉄板を叩いている冒険者もたまにいる。問題ないだろう。
俺の番。力いっぱい叩きつけた。他冒険者と比べると正直弱め。まだまだレベルが低いからな。レミーがハンマーを持ち計測器の前へ。
「可愛い女の子じゃねえか」
「はは、力自慢か~」
場がどよめきたち、冷やかしが入る。ああ、見た目で判断してはいけない。振りかぶり叩きつけるレミー。あまりの力にハンマーの柄が曲がり、頭が空気の壁を突き破りながら突き進む。当たった瞬間大きな振動が発生。まるで地震だ。計り棒が勢いよく飛び出してきた。棒が急に止まったかと思うと、下部には上限の文字が。最大値だったわけね。
目玉が飛び出しそうなほど驚いている冒険者達。俺も知らなければ驚いていただろう。
「キランさんはC、レミーさんはSの受付へ」
SからDの5種類があり俺は下から2番目、レミーは1番上。また後でとここで別れ、係の人に指示された場所へそれぞれ向かう。受付では仕事を選べた。簡単そうな仕事、荷運びにしよう。仕事を選ぶと仕事の説明を受け現地へ。馬車に乗り各地で荷降ろし、荷運び。結構疲れるが安全だから家族がいる冒険者や引退者には人気だと一緒仕事をしている人が言っていた。途中昼食を挟み、休憩後馬車に乗ってまた仕事へ。
「今日は仕事が少なかったんだ。悪いがここまで」
仕切っていた人が冒険者達に今日の仕事が終わったことを説明。皆帰る。早く終わったから予定の額よりは少なめのお給金。仕方ないか。まだ早いな、レミーの様子でも見に行ってみるか。受付でレミーがいる場所を聞いて移動。多数の曲芸師達がいる場所に到着。
「さあ、久しぶりのS級腕相撲だ。挑戦者は居ないか!?」
なんだか盛り上がっているな。腕相撲か。見に行くと女の子とわかる腕が壁から生えている。レミーだな。変わった仕事があるものだ。お金を払って挑戦、勝てば賞金を貰えるシンプルなゲーム。今のところ全勝だな。S級腕相撲は最高ランクの腕相撲ってことらしい。中には記念参加をする人が居た。
「へえ、久しぶりに強いやつが来たか」
背に巨大な斧、いかにも力が強そうな人が現れた。角に羽に大きな尻尾、赤髪で筋肉質な女性。竜の獣人だろうか。お金を払い挑戦をする。腕相撲が始まる。力が拮抗しているのか両者全く動かない。
「なんだ!?」
会場が少し揺れ始める。この二人の戦いの影響か。どんな腕相撲だよ。どこからか軋む音が。下の石でできた台が2人の力に耐えきれず真っ二つに割れる。引き分けだな。
「引き分けの場合は挑戦者側の勝利です!」
「台を潰しちまったんだ、結構高いだろ? 俺の負けでいい」
豪快に笑いながら去っていく女。裏に回りレミーに会いに行く。
「本気を出したんですが全く動きませんでした」
レミーでも敵わない人がいるんだな。いや、低レベルなのに強い力のレミーがすごいのか? 頭が混乱してきた。まあ、世の中上がいると。ここで仕事は終わり。台が潰れてしまったしね。一緒に戻り報酬を受け取る。レミーがかなり稼いでいるな。この世界で巨人族は稼ぎやすいか。
そろそろ仕事が終わりの時間だな。ディーナを迎えに行く。順調に仕事をしていたようだ。後3日お願いと泣きつかれていた。快く了承し、ギルドへ向かう。途中シアが働く屋台を様子見。お客さんが並んでいる。大盛況だな。
「忙しいからご飯時が終わるまでお手伝いすることにしたから、ご飯に行ってて」
「ごめんね、シアちゃん借りるよ」
そうだよな、これから忙しくなる時間だ。返事をしてギルドへ。ディーナの報酬を受け取り晩ごはんを食べ、宿屋へ、そこでシアと合流、彼女も後3日手伝うことになったとか。
2人は手伝い、俺とレミーは力仕事を。手伝いの期間が終わり、2人とも結構な報酬を貰う。シアは特別に料理を教えてもらったようだ。たまにはこういった仕事もいいな。
翌日からは狩りをすることに。やっぱり経験値も入るからこちらが基本になる。レベルを上げて強くならないとね。次の狩り場を探す。平均レベル8、棘棘の森、現れる魔物は3匹。ここかな。場所と魔物を詳しく調べ現地へ。
魔物が出現する場所に到着。探しに行くといました、栗が大きくなったような魔物、ニードルシードが現れた。森の名前にもなっている魔物。割合的にも8割この魔物。




