【46】dot monster-3
水谷は徒歩で暫く歩いて。タクシーを呼び麓の町へと辿り着いた。町はそこそこの人口の有る町で必要な物は全て揃う程であり、とりあえず日用品を揃えるのにホームセンターへ寄る事にした。ホームセンターの電気工具や様々な資材等を眺めていると
「ホームセンターは良い。ホームセンターが嫌いな男の子なんて居ないと思いますね。」
何て呟きながら。暫く買い物をした後に食料品や衣類を買いに町を移動した。ちょっとした町の繁華街へ向かうと焼き立てのパンの香りが鼻を掠めた。水谷はパンを炭火で温めてタップリとチーズを乗せて食べようとパン屋へ寄る事にしたが。パン屋の名前はカラテパンと名乗り見るからに硬そうなパンを売ってそうだ。と思い止めようとしたが、以前U駅で出会った男。数島謙吾の店である事を思い出し寄る事にした。
水谷はパンを買い込み。その後にスーパーマーケットに寄って山小屋へ戻り。その日は風呂に入ると暖炉でカラテパンのバゲットにチーズを乗せて焼きそのまま寝る事にした。
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10月28日
水谷は毎日麓の町へと下り。本屋に寄ったりカラテパンへ行ったり、ホームセンターで遊んだり。山小屋へ戻って作業をしたりと暇を弄びながらも充実した日々を送っている。
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あれから3日経つが水谷から僕に連絡は無く。通信から足がつく事を警戒しての事であろうと僕は気にしない事にしている。最近はマリアの動画収録と編集と確認を繰り返す日々で、マリアは着々とフォロワーを増やしていた。
マリアも自分の事は気になるらしく、マメにコメントへ返信を毎日書いている。今日も朝からマリアはコメントをチェックしていると
「タケ!数島のお兄さんがからコメントで。最近毎日、珠樹っちがカラテパンへパンを買いに来てくれるんだって!」
「はっ?何やってんなの?水谷さんは命を狙われてるから雲隠れしてるのに。そんな所に居場所書かれたらマズいよ!」
僕は慌てて水谷へ電話をするが繋がらず。余計に気持ちが焦ったが。千香子の言葉を思い出して、それでも水谷は大丈夫だと自分に言い聞かせ。マリアの動画編集に集中しようと気持ちを入れ換えた。
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水谷は晩御飯の仕度に取り掛かっていた。地元の特産のウィンナーソーセージを手に入れたなので暖炉で焼いて、カラテパンで買ったコッペパンに挟んでマスタードとケチャップを掛けてホットドッグを作っていた。
パリッとした食感に肉汁の溢れる上質なソーセージにパンの甘味が程よく拡がり。水谷は上機嫌で晩御飯を終えてノートパソコンで下界の様子を確認していた。
山の中で人通りの無い山小屋は静かな物で。特に秋も終盤に入り寒さを増すと虫の鳴き声すら無く。葉擦れの音すら聴こえて来るような上に窓から外を見れば真っ暗闇で、水谷の居る山小屋だけが明かりを灯す状況であった。
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「こんな山奥に隠れ家を持っていたとは。本当に厄介な人ですね。」
そう言うとdot monsterは水谷の隠れている山小屋の前へと辿り着いていた。そしてdot monsterは山小屋の敷地内へと足を踏み入れ
「このまま、焼き殺してしまうのも有りか。こんな所に不自然に落ち葉が広がっている。落とし穴か一応は警戒しているんですね。」
dot monsterはライトで足下を照らしながら、水谷の居る山小屋へと近付いている。
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水谷はそんな事も気にせずに、読書を始めていた。特に為になるような本では無く、漫画雑誌で人気のギャグ漫画の単行本を読みながら笑っている。水谷は昼間の慣れない力仕事の薪割り等で疲れてウトウトとしはじめた。そして数分後に水谷は完全に眠りに着いてしまった。




