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芽衣子
「正太郎君」とちんたらおはぎを食べていた僕に、芽衣子が言った。「机の中に、封筒が入っていたでしょ」
「え?」
僕は机の中を探る。ほんとだ。
「なにこれ」
「間違えちゃった」
と僕からそれを奪い取り、廊下へ去ってしまった。
「なんじゃありゃ」
「わからないのか」と染川が言った。「ラブレターだよ」
「……ほんとに?」
「深夜のノリで書いたのが、今になって恥ずかしくなった、というところだな」
「でも、茶封筒だったぜ」
「お前も知ってるだろ、ちょっと変なやつなんだ」
芽衣子は男子ばっかりの柔道部に一人だけ入っていて、それで誰よりも強いと聞いている。
「おはぎばっか食ってるお前も十分変だけどな」
「おいおい」
「お似合いだぜ」
僕は芽衣子を追いかけた。