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華やかな高校生活
悪魔の目が緑色に光ると、僕は悪夢の中に落ちていった。
悪夢? いや、これはひょっとすると、結構いい夢なのかもしれない。
勉強がバリバリできるようになって、東大に行けそうな自分。
ピアノが上手に弾けて、コンサートでスタンディングオベーションを受けている自分。
書道の達人な自分。
高校生なのに小説家デビューを果たし、史上最年少で芥川賞をとりそうな自分。
もちろん、たくさんのガールフレンドもできた。
あまりパッとしなかったはずの高校生活が、突然こんなに華やかになるなんて!
しかし。
それでもこの世界には何かが足りないのだ。
息を大きく吸い込む。
そして、僕はその名前を呼んだ。




