表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

家族会議

「ジャーン! これなーんだ!」


 木工職人の父親のアルパと畑仕事に出ていた母親のナールを呼び出し、引きずってきた妹とウルア、四人で囲んだテーブルの上に、白い卵が置かれていた。


「卵だな」

「卵ね」

「ちょっとお姉ちゃん! こんなの見せる為に、朝の忙しい時間だってのにみんなを集めた訳!? 確かにデカいけどさ! とっとと料理しちゃおうよ」


 マールの言葉に両親も頷き、台所へ持って行こうとする。


「待った待った! コレは只の卵じゃないんだから! ……多分」

 まだ何も分かっていないのに食べられてしまいそうだ。


「買ってきたのか?! いくらだったんだ」

「そうよ〜。正直に言いなさい。なんで物々交換にしなかったの〜」


「そうじゃなくて! ここ見て、ここ!!」


 ビシッと指差した場所を皆が覗き込む。


「なに? 落書き?」

「ダメよ〜ウルア。殻だって使い道はあるのよ〜」


「があっ! そうじゃない!」

 あまりの話の通じなさに頭を抱えてしまう。

「しかしなんの卵だろうな。どれどれ」


 ゴンっと鈍い音が響く。


「硬いなぁ」

 アルパがゴンゴンとテーブルに卵を打ち付け始めた。


「だああああ!! ちょっ、ダメだって。やめてぇぇぇえ!」


 慌てて卵を取り上げようとするが、その動作に驚いたアルパが手を上げて防ごうとし——


「あっ」


 ゴッ



 床に落ちた。


 ……………………


 ……………………


 ………………。





 草刈り鎌を使用した長女による父親襲撃は、家族の尽力により未遂に終わった。




「それでは改めまして、この卵について検討していきたいと思います」

「欠けてるけどな。はっはっはっ」

「お前が言うなあ!」

 ウルアが怒鳴るも、全くこたえた様子はない。


 落ちた衝撃で卵は欠けた。

 しかし割れてはいなかった。床に凹みを作り、表面の一部を欠けさせたが、その内部はまだ殻で覆われていた。

 そして拾った欠けらの側面が黒い。目を凝らせば、びっしりと細かい文様が描かれているように見える。

 これらのことから、この卵が通常のものではないと、漸く家族に納得させることができたのだった。


「ダンジョンの卵だと思う人、手ェあげて」

 アルパとマールの手が挙がる。が、一人挙げていない人物がいた。


「母さんは違うと思うの?」

 ナールは小首を傾げている。

「んー。というか、それって私達じゃ判断できないでしょ〜」


 これにアルパも同調する。

「まあ、俺らには知識が無いもんな」

「アルパの言う通りよ〜。それに違うとしても、こんなに怪しげな卵、食べるのはちょっとねぇ」


 確かに何の卵かをここで論じていても正解は分からない。

 ウルアも納得した。

「じゃあこれ、どうしよう」


「はーい。お母さんからの提案は三つです」

「はい、ではナールさん。どうぞ」

 手を挙げて許可を求める母に先を促す。


「まず一つ。ダンジョン見学に行ったリット君に聞いてみる」

「採用!」

「お姉ちゃん、まだ二つあるから」

 マールが呆れたようにいえば

「脈あるのか? まあ無駄な努力は無いと言うからな」

 アルパが余計な事を言って、ウルアに剃り残しの髭を毟られる。

 いつもの事なので、ナールはそのまま続けた。


「二つ目はね、王都の商会で照会してもらう…あらやだ。うふふ」

 全員スルーする。


「三つ目はね、他の人に食べて貰う」


「え?」

「だから、とっても怪しい卵でしょ〜。でもスっごく美味しいかもしれないじゃない。もうね、割るのもお願いして、味見もしてもらうのよ〜。様子を見て、大丈夫そうだったらみんなで食べましょう」


「母さん、だったらさ、何も一つに絞る事ないんじゃない? リットさんに見せて、分からなかったら王都にも付いてってもらうでしょ。良い値で売れそうだったら売って、やっぱり分かんなかったら、誰かに食べてもらおうよ」


「おー! いい考えだなマール。食べさせるのは、お迎え近そうなのと体力ありそうな奴、どっちがいいかな」


「ちょっと待って! 犯罪者の家族は嫌よ!」


 慌ててウルアが止める。


「やあね〜。冗談よ〜」

「そうだぞ。お前の家族を信じろ」

「そうだよ。(バレなきゃ平気だよ)」


 どうしてか家族を信じきる事が出来ないウルアだったが、まずはリットに相談するという事で意見の一致をみた。






まだ1日目の朝ですね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ