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武芸百般~VRMMORPGの世界で武術という概念は通用するのか?~  作者: orion1196
第2話 駿河、レベリングに興じる
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ウロボロス戦 その一

「相変わらず硬ぇなぁおい」


「氷ブレス来るぞ! ヴァルマカード!! 」


 斬月とアガレスが弓を放つがそのほとんどが体表の鱗に突き刺さる程度で本体のダメージに結び付かない。


 しかもウロボロスの首は三つあり、それぞれが異なる属性攻撃のブレスを使うため、レベル60以上から受注可能なクエストなのに未だに最高ランクプレイヤーでも失敗するほどの高難易度モンスターとなっている。


「おい壁班、装甲はいつ壊せる? 」


 斬月が呼び掛ける。大型討伐クエストの必須アイテム『念話用耳栓』を使うことによってパーティー内での自由な会話が可能となっている。


「流石に四人では硬いんだって、俺も鈍ってるしもう少し待ってくれ」


 ヴァルマが『聖なる障壁(グランドウォール)』を発動させてリンとユーヤが攻撃する。一糸乱れぬ連携攻撃で相手の胴体を押し返すも、ウロボロスは防御力と体力に定評があるモンスターで、二人の攻撃を受けて怯まないどころか怒りのボルテージだけを増していく。


「このままじゃ…… キャア!! 」


 ウロボロスの尾の振り回しがリンの腹部に直撃し真後ろにふ吹き飛ぶ。ヴァルマもスキル発動中のため迂闊にウロボロスに背を向けられない。


「どうやって…… 」


 ユーヤが構え直したその時、駿河の刀が光った。


「駿河さん!? 」


「ほぉ、こいつは硬い」


 駿河が例の高速抜刀で斬りかかったものの、ウロボロスの装甲に阻まれて弾き返されている。駿河も刀を納める事なく構えたがその形はユーヤが見たことの無いものだった。


「それは? 」


「左上段、右袈裟斬りを打ちやすい」


 刀を振り上げた上段の構えでありつつも完全な頭頂で構えるのではなく少しだけ左側によったその構えは確かに袈裟斬りに適した構えだと言えた。


「硬い相手は斬るのではなく『割らんと』いかんからな、多少力を使うわい」


 駿河が刀を握り直した「チャキ…… 」という音が響く。そしてウロボロスが口を開いて火を吹こうとしたその瞬間、駿河が走り始出した。


「危ない!! 」


「ぬうぅぅん!! 」


 ウロボロスの中央の顎が瞬間的に揺れ、崩れ落ちた。それにともなって両端の頭もバランスを崩して地面に落ちる。


「え、今何を…… 」


「柄頭、殴りつけたんじゃよ」


 どうやら抜刀せずに柄で顎を殴ったらしい。駿河は間髪入れずに突きを放つが頭の甲殻に弾かれる。


「恐るべき硬さよのぉ。迷惑なこった」


「駿河さん伏せて!! 」


 リンの叫び声に駿河が振り向くと、リンの拳が赤く光っている。リンが正拳突きの構えをとると同時に駿河は後方にジャンプした。


「ハアァァァ!! 『破壊の拳(デストロイスマッシュ)』!!!! 」


 リンが渾身の一撃を叩き込む。その拳は起き上がりの瞬間に直撃し、ウロボロスの頭部が大きくのけ反った。


 加えて『格闘家(ファイター)系』の職業(ジョブ)の持つ『破壊の拳』は、ただ攻撃力が高いだけではなく『食らった相手を吹き飛ばす』能力が備わっているためで、さしものウロボロスもこればかりは例外ではない。


「よぉやった! 」


 リンが退いたその瞬間に駿河は再び太刀を振りかぶり、ウロボロスとの距離を一足飛びで詰める。


「せぇぇいやあぁぁ!! 」


 太刀が振り下ろされた跡がウロボロスの腹部に浮かび上がり、そしてヒビが入る。


「え? 一撃でかよ! 」


 多少驚いたものの、次の瞬間にはヴァルマが『聖なる障壁(グランドウォール)』を解除して斬りかかる。


忍耐の一撃(ペイシェンス・カウル)ゥゥ!! 」


 物凄い衝撃波とともにウロボロスが仰向けにひっくり返る。そこには生々しい刀の跡が刻まれていた。


「こうやって斬るのも悪くなかろうて」


 駿河はまるで子供のような笑顔と共にユーヤたちに向かってピースサインを突き出した。

『押し斬り』、1度はやってみたいです。え、私?筋力不足で出来ませんねぇ(汗)

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