Phase5-1
「もう時間がない…っ」
「そんな!?だってまだ入って1日位しか経ってないハズじゃ!??」
「みてみろ。“ここ”は時間が倍速だ」
「うそ!?どうして?そんなトラップクエストだなんて聞いてない!!」
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目の前には紫の扉、真っ白い部屋に私は今座っている。
一瞬何がなんだかわからなかった。
呆然と立ち上がる私の手から携帯電話がすり抜けると、その落ちる音だけが部屋に反芻する。
(ここはどこ?)
携帯電話を拾うことも忘れ、ただ目の前の扉を眺めていると、上からハウリングのような声が響く。
汝 己の 痛み を 示せ
「え…」
汝 己の 痛み を 示せ
「痛み…?」
ぐわんぐわんと響く感情のこもっていない声は、さほど広くない部屋にこだまし、鈍い頭痛を呼び寄せているかのようだった。
汝 己の 痛み を 示せ
「い…った…」
細かい光が頭の中でさく裂し、自然と膝が折れていく。
さすれば 痛みと ともに 力 を 還そう
「頭…が…いた…い」
さすれば 痛みと ともに 力を 還そう
目の前にいくつかのシーンが浮かんでは光と一緒に消えていく。
泣き崩れるママの横顔
離れていくパパの後ろ姿
開かない扉
体に広がる痛み
暗い部屋
やさしい匡の笑顔
よろ しい
その言葉とともに圧迫感から一気に解放される。
「う…ごほっ…げほっ」
体全体にじっとりと汗をかいていた。頭の痛みはもうないのに、気持ちだけはやたらと重くて息苦しい。
孤独 渇望
過ぎ去った 安穏
つながり を 求める 汝 に 『分断スル』 力 を
ぐったりとして何も抵抗出来なくなっている私の体に部屋の天井からするりとやってきた光が入り込む。
その光は私の体で一度光ると消え、近くに落ちていた携帯電話も入ってきた光と同じ色で1度光ると、目の前の紫色のドアが重たい音を響かせて開いた。
ドアが開ききるのをただ見つめながら動かずそこにいる私を、どこかで見ているようにその声の主が言う。
最後の 扉 を 開け
開いた 者 の 願い を 叶えよう
それっきり声はしなくなった。
(扉…)
目の前には開かれたドア
願い を 叶えよう
抜けていた力はいつの間にか戻っていた。




