魔法使いの集まり1
お姫様には、大切がよくわからなかった。
だって、大切にされてこなかったから。
竜にとって真実の愛が大切らしいけれど、大切がそもそもよくわからない。
真実の愛を探しても竜は竜のままなら、真実の愛を見つけるより、竜が魔法使いに戻る方法を探す方がいい気がした。
「魔法使いだったころの知り合いとかはいないんですか?」
「何故?」
「あなたのその呪いが消える方法を探せるかもしれないと思ったので」
竜は、ふむと何か考えたようだった。
「そうだね。
まだ、昔の記憶が残っているうちに記録を残しておいてもいいかもしれない」
竜はそう言った。
お姫様は記録を残さなければならない理由はよくわからなかったけれど、竜は竜なりの理由があるのだと思った。
竜はお姫様に「魔法使いの集会に行ってみるかい?」と聞いた。
それがどんなものかお姫様には分からなかったけれどとりあえず頷いた。
「出かけている間にこの塔が壊されるのももんだいだな」
「出かけている間に壊されるの?」
「いなくなれば、『竜はお姫様をどこかにさらってしまいました。めでたしめでたし』ってなってしまうからね。
そうしたらこの塔は魔物がいた忌まわしきものになってしまうから。そういうものは壊してしまうのが人間だ」
竜ははっきりと言った。
お姫様はそういうことかと思った。
本当に壊してしまうのかは分からない。
「なら、脅すのがいいと思うわ」
お姫様は言った。
お姫様はこの竜と過ごした塔を気に入っていた。
はじめてもらったものも沢山あったし、ここの道具があればまた竜と木苺のパイが食べられる。
お姫様は考えた結果竜にそう言った。
「まあ、それが一番無難だろうなあ」
くわと、喉で鳴いたあと竜はそう言った。
それからその通り、次に城から物資を届けに来た使者をきっちりと脅していた。
お姫様は、動きやすい恰好の方がいいと言われて少し悩んでしまった。
そうして考えて考えて、料理をするときに着るワンピースを着ていくことにした。
竜は準備をしたお姫様を見て、「服をなんとか調達できる方法を考えなければな」とぽつりと言った。
お姫様は竜がなんでそういう風に言ったのかよくわからなかった。
お姫様は自分が分からない事ばかりだということにちゃんと気が付いていた。
お姫様は分からないことだらけの自分がとても嫌だった。




