6/6
6話 勇者の凱旋
星々が歌う夜を超え、地平線から最初の光が溢れ、世界を金色に染め上げてゆく。
世界の調律を終えて、傷だらけの剣を携え、勇者は白銀の王国へと帰ってきた。
天をも衝く、きらびやかな水晶の玉座。厳かな沈黙のなかで、王へと最後の報告を捧げる。
「闇の帳は、永久に払われました」
その言葉が響いた瞬間、国中は祝福の光に満たされた。
けれど、差し出された王冠も、彼を称える精霊たちの祝祭も、その足を止めることはない。
平和とは、形のないガラス細工のよう。
目に見えない風にも、容易くひび割れてしまうから。
まだ夜と朝の境界が、淡い薄紫に溶ける頃。
勇者はだれにも告げず、再び朝露のなかへと歩き出す。
地平線の彼方、新しく生まれる光のなかへ。
彼の足跡は、世界の輪郭をそっと撫でるように。
ただこの美しく、儚い世界をそっと抱きしめるために、終わりなき彼の旅は、おとぎ話の続きのように、どこまでも、ほんのわずかなズレさえ抱えながらも
正常化ズレ




