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第五話 掃除に打ちのめされる少女

挫けずにたけるのお世話をしようと奮起するあずさ

しかし最新家電は、あざわらうかのように梓を打ちのめすのでした。


どうぞお楽しみください。

 落ち込んでなんかいられない!

 お兄ちゃんのお嫁さんになるために、できる事は何でもやらなくちゃ!

 まずはお掃除!

 お兄ちゃん、本が好きだって言ってたから、きっと買った本がごちゃってしてるよね!

 そういうのをさささってまとめて、できるお嫁さんをアピール!

 ……それで、えっちな本とか見つけたら……!

 わ、私がいるからこんなのいらないよね、とか……!

 きゃー!

 ……って、あれ……?


「今冷たいお茶出すから、そこのソファ座ってて」

「……うん……」


 お部屋綺麗……。

 っていうか物がすごく少ない……。

 私が来るから片付けたのかな?

 それはそれで嬉しいけど、それにしても少なすぎない……?


「はいあずさ

「あ、ありがとうお兄ちゃん。……その、お兄ちゃん、本、好きだったよね……?」

「あぁ、今でもよく読むよ」


 そうなんだ……。

 じゃあ今はどこに……?

 私は出されたお茶を一口飲むと、意を決して聞いてみた。


「じゃ、じゃあその本って寝室とかにあるの? 私、お兄ちゃんの読んでる本、見たいなぁ……」


 するとお兄ちゃんは、


「そうか! 梓も本好きになったんだな! そうだよな、大学生だもんな!」


 嬉しそうにそう言うと、何だか小さい黒板みたいなものを出してきた。


「……? これ何?」

「タブレット。これに俺の本が入ってるんだ」

「……え?」


 訳がわからない私の前で、お兄ちゃんは何やらその黒板を指でいじってる。


「ほら、見てごらん」

「わ……!」


 も、文字がぎっしり!

 しかもお兄ちゃんが指でなぞると、新しいページになった!


「電子書籍って言うんだ。これ一つで小説も新聞も漫画も雑誌も、お店に行かないで買えるんだ」

「そ、そうなんだ」


 これ、すごい……。

 これ一つで本棚いらずなんだ……。

 これがあれば、実家に置いてきた漫画とかも読めちゃう……?


「余ってるタブレットあるから、使う?」

「い、いいの!?」

「あぁ。定額サービスだから好きなの本棚に入れていいからね。俺の本棚見たかったら言ってね」


 う、嬉しい!

 でも漫画ばっかりだとおバカだと思われちゃうから、お兄ちゃんの本も読ませてもらおう。

 ! そうだ!


「そしたらお兄ちゃん! お礼に私がお兄ちゃんのお部屋、毎日掃除してあげる!」


 これなら自然にお兄ちゃんのお世話ができる!

 私天才!


「あぁ、掃除ならほとんどしてないんだ」


 それならチャンス!

 ……あれ? じゃあ何でこんなに綺麗なの?


「大体そいつがやってくれるからね」

「そいつ?」


 お兄ちゃんが指差す方を見ると、そこには分厚いお盆みたいな丸くて平べったい物があった。

 何かちかちか光ってる……?

 わ! 動いた!


「な、何これ何これお兄ちゃん!」


 慌ててソファに飛び乗る私の足元を、それはゆっくりと動いていく!

 何これ気持ち悪い!


「ロボット掃除機だよ。自動で床の掃除をしてくれるんだ。それとこのマンション、空気清浄機がハイスペックでさ。埃をほとんど吸っちゃうから、棚とかも綺麗なんだよ」

「へ、へぇ……」


 もう! もうもうもう!

 何でこんなにうまくいかないの!?

 このためにおばあちゃんから、お茶っ葉で掃除する方法とか、新聞紙で磨いてツヤを出す方法とか教わったのに!


「とりあえずタブレットで少し遊んでみて。わからない事あったら教えるから」

「……ありがとう……」


 ……教えてほしいのは、お兄ちゃんのお世話をする方法です……。

読了ありがとうございます。


紙の本もいいぞ(迫真)。

電子は手軽で良いのですが、現物を手にした時の満足感、あれは良いものだ……。

オレ、書籍作家になったら、移動式本棚を並べた書庫を作るんだ……。


次話もよろしくお願いいたします。

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