↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
62/79

番外編① 農民上がりのギルド長。その名もパーシヴァル。〜僕…冒険者になりたいんです〜

外伝です。ずっと出てきていないパーシヴァルの話になります。楽しんでいただければ幸いです。

おぎゃあ。おぎゃあ。

ある夏の日の朝。その暑さを切り裂くような産声が上がった。子供は一軒の小さな農家の家で生まれた。

母親は生まれたばかりの子供を愛おしそうに見て言った。


「あなたの名前はパーシヴァル。これからすくすく育ちなさい。」


赤子は母の言葉に答えるようにしばらく大きな声で泣き、疲れで眠ってしまった。それを父母は優しく見守った。


そう、これは身分に厳しい時代に農家に生まれたパーシヴァルが十二人の騎士《シュテルクスト・フォン》の第八席(・アハト)になるまでの物語。




―――――――――――――――――――――――

「父さん。母さん。話があります。」


パーシヴァルの誕生から15年の月日が経過した。彼は母の言葉通りすくすくと育ち、立派な青年になっていた。そして、彼は今一世一代の決心を伝えようとしていた。


「なんだ?言ってみろパーシヴァル。」


父が、剣の手入れをしながら応えた。パーシヴァルの父は昔、冒険者をしていたのだが足に怪我をして冒険者を諦めたのだ。その怪我は、あまり酷いものではなく、農業が通常通りできるほどのものだが、少しの状況が生死を分ける冒険者業では大きな怪我だった。


「父さん。本当に真剣な話だからよく聞いてほしいんです。」


彼はテーブルにつき、再び父親に言った。

パーシヴァルの真剣さが通じたのか、父は手を止めて少しパーシヴァルの顔を見た。


「…わかった。少し待ってろ。母さんも来い。」


父は、手にしていた剣を丁寧に袋にしまい。壁に立て掛けた。その後すぐにテーブルにつき、先ほど以上に真剣な顔でパーシヴァルの言葉に応えた。


「もう、話していいぞ。」


彼は、母と父の顔を交互に見た後に切り出した。


「僕…、冒険者になりたいです。」


一瞬音が消えたような静寂が訪れた。その静寂を破ったのはやはり父だった。


「本気なのか?冒険者はお前が思っている以上に過酷な職業だぞ。それでもやっていけるのか?」


父の経験を踏まえた、厳しいコメントだった。

しかしパーシヴァルは、動じなかった。


「はい。どんな困難にぶつかっても乗り越えられます。俺は本気です。本気で冒険者になりたいんです。この世界にはまだ見ぬ様々なものがあるはずです。俺はその全てを見たいんです。」


「そう…。だから毎日剣を振ったりしてトレーニングしていたのね。それもとてもたくさん…。」


母は、そこまで言って目を伏せた。


「母さん…。」


「私は、私のパーシヴァルに危険な目にあって欲しくない。でも…、やはり血は争えないのかしらね…。」


母はそう言って元冒険者である父を見た。父は、目をそらし、こう言った。


「行ってこい。」


その他の言葉はもう必要なかった。母も頷いてこちらを見ている。


「ありがとう…。最高の…最高の冒険者になって来るから!」


彼はそう応えた。



“翌日”


パーシヴァルは、もう出立の準備を整えて冒険に出ようとしていた。彼が住む街には冒険者ギルドが存在せず。冒険者になるためには、隣の街まで行かなければならないのだった。


「父さん。母さん。僕はもう行きます。今まで育ててくれて本当にありがとう。」


彼はそう言って、背を向けた。


「待て。お前に…これをやる。」


「父さん?」


父は物を渡すとすぐに家の中に入って言ってしまった。


そして、彼の手には一振りの剣があった。磨き抜かれたその剣ならばどんなものでも切れそうだった。


「父さん…ありがとう。」


彼は、今度こそ背を向けて冒険に出た。

書いてたらどんどん話が膨らんでいったので、今後もちょくちょく外伝だしていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。