定番イベント開幕!!
グランのステータスは獣人ということもあり、人族のレベル1より高いらしい。
特にATKは高いので、遊撃的なポジションもいいかもな。
「じゃあ、次私がやります。」
クララがカードに手をかざす。
カードが明滅し虹色の光を放つ。
白色のギルドカードにステータスが表示された。
「レベル1 クララ
HP1700 ATK1600 MP2600」
うん。
クララは、魔法特化型のようだ。
たくさん魔法を覚えてもらって、魔法少女クララを目指してもらおう。
「そういえば、今日ギルド主催で初心者向けの魔法講座を開催しております。よかったらご参加下さい。」
ナイスタイミングだ。
アイリーンさん。
グッ
君のその笑顔に惚れてしまいそうだぜ。
おっと、そんな馬鹿なこと言ってないで詳しく書かないと。
「アイリー…」
「それって、どこで何時頃やっているんですか?」
クララに先を越されてしまった。
もしかして、自分のステータスを見て早く魔法を覚えたくなったのだろうか。
「午後1時頃から、このギルドの裏で開催予定です。ちなみに、参加費は無料です。冒険者さんたちの生還率が上がれば、ギルドとしても嬉しいので。」
「ありがとうございます。」
クララがハキハキ返事をする。
やっぱり、若い子の返事はいいね。
「クララ、行きたいのかい?」
「はい。早く魔法を覚えて、ヒロさんのお役に立ちたいので。」
…。
なんて素直でいい子なんだ。
あと数年年齢が上だったら、惚れているかもしれない。
「じゃあ、行くか。俺も魔法は覚えたいし。」
そういえば、ヘスは魔法を使えるんだよな…。
「ヘス。魔法を教えることはできるかい?」
「はい。もちろんです。魔法を発動するときは、
体の中の気力の流れをぎゅうーっとまとめてポンって感じです。」
うん。
魔法は発動してヘスの指先から光が出ているが、説明がよくわからない。
まさか、ヘスがマンガによくいる感覚系の人だったとは…。
ていうか、ギルド内の視線が集まってるような…。
「む、無詠唱…!」
グランだ。
「おい、姉ちゃん。無詠唱ってマジかよ。」
「確か、昨日冒険者になったばっかだよな。今まで何の仕事してたんだよ。」
周りの冒険者たちが、口々に聞いてくる。
でも、まさか神の眷属ですとはいえないし…。
「その話は、また今度お願いしまーす。」
アイリーンさんだ。
「ついてきて。」
アイリーンさんが、俺たちにしか聞こえないくらいの声でささやき、ギルドの端の方にある扉に向かって行く。
俺たちが、アイリーンさんに続いて、扉をくぐると、応接室的な部屋があった。
「ちょっと待ってね。」
アイリーンさんがそう言ってさらに奥にある扉に入っていった。
グランとクララは何が起こっているのか飲み込めず、うろたえている。
ヘスは、いつも通り微動だにもしない。
俺は、というとニヤニヤがとまらない。
だってこれ、あのギルド長との対面っていう、定番イベントでしょ!!