表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の彼方と異世界クロスオーバー 〜アニメの勇者+αと共同生活はじめました〜  作者: 高橋聖
第四章 体育祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/68

4-11 体育祭午後の部①

 午前の部、昼休憩を経て、ついに午後の部に突入した七王子西中学校の体育祭。


 午後の部最初の競技は、各団全員参加の応援演技、すなわちダンスだ。


 ……で、そんなダンスも一組赤団、二組青団と終わり、次はいよいよカナタたち三組黄団の番となった。

 入場門の外に並び、待機していると、そこにチハヤが来た。


「やーカナタ。チハヤちゃんが応援に来たよ~」


「へぇ。ありがとうございます」


「で、どうだった? あたしのバク転!」


「本題そっちでしょ。んまぁ、『できるんだ』ってのが率直な感想。結構似てる俺らでも、得意不得意はあるんだなーって」


「それだけ?」


「それだけ。ゴメンネー」


「もっと褒めてくれてもいいんだけど?」


「強いて言うなら……凄かった。俺にはできないから尊敬する。あとポンポン持ってソーラン節は超おもろかった」


「あざーす。じゃあ、頑張ってね~」


 片手を振って、チハヤは帰っていった。


 ――――ボキャブラ不足、結構課題だなぁ。映画見てても「すごかった」「おもしろかった」しか出ないし。


 カナタが思案していると、周りが立ち始めた。合わせるようにカナタも立つ。


「で、結局タカトは来ないのかな」


 ちらと後ろを振り向いても、そこに刃那伊地タカトの姿はなかった。


 列の前では、きのが話を始めていた。


「今日までいろいろありました。初めのころは、ちょっと揉めたこともありました。でも、それも全てはこの日この時のためです! 全力で、勝ちにいきましょう!」


 『はい!』と、力強い返事が、列のそこかしこから上がった。


「黄団いくぞぉー!!!!」


『オー!!!!』


 バスドラムの重低音とラッパの低音が、グラウンドに響き始めた。


 ――――この曲……! 決めた先輩、センスあるぅ。


 そこに、総勢一二〇人の足音が重なっていった。




 それを保護者テントから見ている、タイチをはじめとした春晴家の六人。


「お、来た来た。カメラスタート~っと」


 タイチがビデオカメラのスタートボタンを押した直後、一仕事終えて合流したばかりのセルアが口を開いた。


「この曲、どこかで聞いたことがある」


「――――確かに。オレも聞き覚えがあるぜ」


「この曲……先日、リビングで見た映画じゃないですか? オーケストラのやつですよ」


「あー、あれね。フラクチャード・シンフォニーって映画よね」




 そんな会話をしている内に、黄団は入場を終え、最初のダンスために円形状になっていた。カナタの立ち位置は、保護者テントから最も遠く、赤団のテントの前だった。


 ――――ここまで来ることは把握済みなんだけど……


「これはなぁ」


 カナタの目の前には、チハヤが座っていた。


「がんば~」


 ――――これは、ミスれない。ミスったら半年はイジリのネタになるのを覚悟しないと……!


 入場曲は終わり、二、三秒間を置いて、最初の曲、陽気なヒップホップが始動した。


『ハイ! ハイ!』


 そう叫びながら、リズムに合わせて手を叩く。


『ワン、ツー、スリー、Eyy!!』


 それと同時に、右腕を天高く掲げてジャンプ。


 曲のリズムや歌詞に合わせた表現のダンス、ヒップホップ調のダンスが続く。練習の通りに腕を振り、足でステップを刻み、全員でウェーブを作るようにしゃがみ、五歩前に動く。


『We are サイキョー team イエロー!!』


 半分叫んでいるような声を出し、チームの士気を上げると同時に会場を盛り上げる。


 最後にはグラウンドの中央に集まり、全方向に向けて各々がポーズを決めた。

 会場のそこかしこから、大きな拍手が巻き起こった。


「二曲目いくぞぉ!!!」


 紀が叫んだ。直後、静かで幻想的なピアノのメロディーが鳴り出した。

 一同はゆっくり、ゆーっくりとすり足で散らばり始める。三年生の団リーダーたちは真ん中を動かず、そこで滑らかで落ち着いたダンスを魅せた。


 サビに差し掛かる頃には、保護者テントを先頭にして、学年、男女ごとの列になっていた。

 サビのメロディは、落ち着きながらも力強いピアノの音。各々が感情を込めた拳を大きく振るい、ゆっくりとターンし、花の開花のようなダンスで、美しくて幻想的な世界を演出した。この間、一度も発声は無い。


 二曲目も終わったら、最後は保護者テントの方に可能な限り寄ってのアピールタイムだ。


「なあ! これ、黄団優勝で!」


 団長である紀と、副団長の小野が言ったのに続いて、


『よ! く! なぁーい!?』


 と、他のメンバーも力一杯に叫ぶ。


 その時、赤団のテントの方から『ダメに決まってんだろー!!』とヤジが飛んだ。どうも、裏で仕込まれていたらしい。



 **********



 黄団が終われば、次は緑団。それも終われば紫団、白団と続き、応援演技は全て終わった。また、ここでの得点は総合得点や順位への影響はなく、『応援演技の部』として別で評価されることになっている。


 さてさて次に待ち構えているのは、保護者競技の借り物競争だ。


「春晴くん」


 午前の部と同じようにテントで休んでいるカナタたちのところに、メガネをかけた女子生徒が来た。


「はい? どしたの」


「交代の時間になっても来ないから、呼びに来たの」


「交代? なんか当番だったのか?」


 エイタにそう聞かれたカナタは少し考え込んだ後、思い出して口を開く。


「あっ、ごめん。すっかり忘れてた」


「だから何があんの?」


「放送だよ。放送部と演劇部で代わる代わるやるの。てことで行ってくる」


 親友二人に別れを告げたカナタは、かけ足で放送席のテントに向かって行った。


「ごめんなさい。忘れてました」


「いいよいいよ。始まるのには間に合ったし」


 放送部長の三年生の男子生徒と交代し、放送席に座ってマイクに顔を近づける。


『ア、ア、よし』




 「今の、カナタくんの声ですよね」


 保護者テントのラーシャたちにも、その声は届いていた。


「ほんとね。あれ、そういえばタイチさんは? さっきから居ないんだけど」


「あの人なら、これから競技に出るからもう行ったわよ。何か用事があった?」


「いえ、サユコさん。ただ気になっただけです」




『たった今交代しました、演劇部二年の春晴でーす。ではこれより、保護者競技、借り物競争を行います。選手の皆さんは入場し、位置についてください』




「お、カナタやってんな」


 ゼッケンをつけ、入場門に並んでいたタイチは、放送席にいる息子の姿に目をやった。と同時に、入場が始まった。


 借り物競争、お題に沿ったものを借りてくる競技。説明しなくとも、知っている人がほとんどだろう。


「よーい」


 スターティングピストルの号砲が鳴った。最初の組のお題はそれぞれ『帽子』『1万円札』『車の鍵』『ソフトボール』だった。

 一人は保護者テントに飛び込んで自分の帽子を取り、一人は保護者テントの自分の財布からお札を取り、一人は駐車場に向けて全力疾走し、一人は体育倉庫に向かって走っていった。その姿たちがなんとも面白くて、生徒たちの笑いをかっさらった。


 続く二組目のお題は『コンビニチキン』『サングラス』『教科書』『マイク』となった。これもそれぞれコンビニに、保護者テントに、教室に、放送席に取りに行った。


 三組目、『雑誌』『自分の子供の親友』『ゴールテープ』『青団の応援旗』。


 四組目、ここでタイチの出番。出されたお題は『サインペン』『バスケットボール』『FIVE HEROSの台本』。


「ったくよぉ……」


 そしてタイチが引いたお題はというと、


『最愛の人』


 ――――ったく、しゃーねぇな!!


 「FIVE HEROSってなんだ!?」となっている男の隣を走り過ぎ、保護者テントに飛び込む。そして、サユコたちのいる方へ向かい、ガシッと、彼女の手首を掴んだ。


「えっ」


「いいから来い」


 彼の頬は、少しだけ赤みがかっていた。


 サユコを保護者テントから連れ出したタイチは、そのまま引っ張ってトラックを半周した。

 それを見た生徒や保護者たちからは歓声が上がる。


 そして、二人は一位でゴールした。


 そこからはゴールの順位ごとに並ぶのだが、タイチはそれを無視して放送席の方に歩いていった。


「ちょっと、あなた!?」


「父さん、何の用で……」


「すまん。マイク借りるぞ『えー、こういうの! もっと若い人にさせるべきでしょう!?』」


 スピーカーからその訴えが広まると、ワッと笑い声が上がった。


『マイク戻りました。二年の春晴です。うちの両親が大変お見苦しいものをお見せしてしまいましたことを、ここに謝罪いたします。そして、このお題を考えついた生徒会の方々、許しません』


 再び、大きな笑い声が上がった。


「ああ恥ずかしい……」


 カナタは手で目を覆って天を仰ぐ。


「私はまぁ、まんざらでも無いわよ……」




 そして、それから三組ほど走り、この競技は終わった。また、この借り物競争と次の競技は「番外競技」となっており、団ごとの総合得点には換算されない。


 体育祭午後の部は、まだまだ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ