おやつはゼリーなのだ(聖女ねえやにはないしょ)
目覚めると、ちょうど午後三時を少し過ぎたぐらいの時間だった。
「ぷぅ(おやつのじかんなのだ!)」
「ピュイッ(ピアディ。聖女様に、ジューア様と仲直りするまでおやつ抜きって言われてるんでしょ?)」
「ぷぅ!?(そうだったー!?)」
それでも恐る恐る、ルシウス君と一緒にお屋敷の厨房に顔を出してみると、料理人のオヤジさんが「待っていたよ」と笑って出迎えてくれた。
「ピアディ君、ジューア様と仲直りするまでおやつ抜きなんだって? 今日は聖女様もジューア様も留守だからね。内緒だよ?」
「ぷぅ!(料理番よナイスなのだ!)」
そして食堂で待っていたところ、出てきたのはピアディの魔力の色に似た、キラキラ綺麗なイエローのレモンゼリーだった。
中にたくさんの果物が入っていて断面図がカラフルだ。
「動物原料のゼラチンがまだ食べられないって聞いてたからね。寒天で作ってみたよ」
「あれ。もしかしてお昼に出てきたシーフードゼリーのボールも親父さん考案?」
「そうそう。こっちは草食のユキノ君でも一緒に食べられるよ」
「ピュイッ(ありがとうございます!)」
爽やかなレモンゼリーは、ほんのりハーブのミント風味。新鮮なイチゴやマンゴー、パイナップルなどの様々な食感も味わえて食べ応えがあった。
カーナ神国は野菜も果物も新鮮な食材が安く手に入る。毎日、ごはんもおやつも美味しいもので盛りだくさんだった。
ただ、お代わりまでしていたルシウス君やユキノと違って、ピアディはいつ「おやつ抜き」を命じた聖女様が帰ってくるかと気が気ではなかった。
「ぷぅ(ごちそうさまなのだ。われはおばばへのわいろ探しで浜辺へもどるのだ!)」
「ええー? まだお外は暑いよ、ピアディ。夕方まで時間を潰そうよ」
「そうだね、まだ四時前で日差しも強いし。夕方頃、ちょうど引き潮の時間帯だから潮干狩りに行くんだ。皆も一緒にどうだい?」
オヤジさんが言うには、砂抜きが間に合いそうなら今日のディナーは貝尽くしとのこと。
夕方になるまで、お家の中で時間を潰すことにした。




