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走り出した瞬間、自分の身体ではないような感覚が芽生えた。
自分の身体が異様に軽い……。
まるで普段は鉛で出来た服でも着ているかのように思えてしまう。
俺は瞬く間に化け物に接近していく──。
【未確認生命体ノ腕部カラ、高エネルギー反応。直チニ、退避行動ニ移ッテ下サイ】
俺は頭に流れた声を無視し、両腕をクロスする形で身構えた──。
化け物の両腕が火を吹き、炸裂音と共に砲身となった両腕から砲弾が発射される。
黒い二つの弾丸は俺の身体目掛けて迫り来る。そしてアーマーに着弾したと同時に起爆し黒煙を巻き上げた。
身体に強い衝撃が走ると共に全身に痺れが襲い、足の力が抜け両膝が地面に崩れ落ちた。
「ダイチィィィ!! もう、やめてくれ!!」
後ろを振り返ると涙を流した朋也が目に入った。
朋也……。俺は辞めるわけにはいかない。どんな時でも俺の味方でいてくれたお前を……。どんな時でも隣にいてくれたお前をあんな化け物に殺させるわけにはいかないんだよ……。
地べたから必死の思いで立ち上がると化け物を強く睨みつけた。
【アーマー損傷率90%ヲ超過。出力70%ダウン。コレ以上ハ危険デス。退避シテクダサイ】
警告音が耳元で鳴り、頭の中を駆け巡る。
俺は逃げない……。
必ずあの化け物を殺す……。
【カシコマリマシタ。アナタノ意向ニ従イマス。現段階ヲ考慮シ未確認生命体ヲ鎮静化、尚且ツ、民間人2名ノ保護ガ可能ナ確率ハ5%二モ満タシテイマセン。ソレデモ、アナタハ、行動ヲ実行ニ移シマスカ?】
「あたりまえだ……」
【カシコマリマシタ。遂行可能ナ戦略ヲ選出シマシタ。未確認生命体ノ胸部中央二、エネルギー反応ヲ検知。対峙シテイル個体ノ急所ハ胸部中央ト推定。約20秒後、次弾装填ヲ予測。ソレマデニ未確認生命体ノ胸部中央二、攻撃ヲ集中サセ撃破シテ下サイ】
「俺がアイツを倒さなきゃ朋也達が死ぬ……」
思い切り足を踏み込み飛び出した──。
俺は一瞬で化け物との間合いをつめ、拳を握りしめ、化け物に叩きつけた。
化け物は砲身になった腕で俺の攻撃を防いだ。
打撃を受けた化け物の腕が砕け散る。しかし砕けたはずの砲身は瞬時に再生し、元の形に戻ってゆく。
化け物の防御がなかなか崩せないでいると化け物の身体の両脇から腕のようなものが生え始め、その物体が形状を変え、自動小銃のようなものに変化する。
化け物の身体から生えた自動小銃が俺に照準を合わせ発砲を始めた。
両腕を顔の前に押し出して防御体勢を取った俺の隙を見て、化け物は後退を始める。
銃撃が止むと同時に俺は顔をあげた。
化け物は10メートル程離れた所にまで後退し、俺に砲身を向けていた。
俺は瞬時に体勢を整えると化け物に向かうのだが……。
【次弾発射迄ノカウントダウンヲ開始。4、3、2、1──】
もう時間が……、間に合わない……。
諦めたくない……。
俺は……。俺は……、大切な人を守りたい!!
砲身から砲弾が発射された瞬間のことだった──。
全身を巡る赤く光輝くエフェクトライトの光が強い閃光を放ち始めた。
輝く光は胸から両腕に流れ収束していく──。
眼前に広がる景色全体がスローモーションに見え始め、そして目の前に黒い砲弾が映り込んだ。
俺は両手で砲弾を受け止めると掌に集まった光が砲弾を包み込んでゆく。砲弾は両手の中に収まり光の球へと形を変えた。
俺は無我夢中で光の球を化け物の胸に押し当てた。
化け物の胸部に光の球が触れた瞬間、球体が眩い光を放ち始める。
【高エネルギーノ、縮退、解放ヲ確認シマシタ】
次の瞬間、身体に強い衝撃が走り、化け物に押し当てている腕が弾き飛ばされそうになるのを左手で押さえ必死に堪えた。
衝撃が止み、光が収まると化け物の胸部には大きな空洞がつくられていた。化け物の身体は形状を変え、流砂のように地面に崩れ落ちた。
【アースプロテクションアーマー損傷率100%ヲ超過。アースプロテクションアーマーノ構築ヲ解除シマス】
全身の外装が光の粒子に戻ってゆく──。
光がまるで砂粒のように風に舞い、俺の身体は元の生身の身体に戻っていった。




