第11話 恋に恋する恋愛体質女子の勘違いロマンス
21歳。私の辞書に「恋してない期間」なんて
文字はないの。バイト先の優しい先輩、
大学のイケメン講師、電車で見かける人まで、
もう、毎日誰かに恋しちゃってるんだから!
そんな私が、ある日、
スマホで見つけたのは、真っ赤なベビードール。
繊細なレースに、大胆なデザイン。
ああ、なんて情熱的なんでしょう!
「……きゃっ♡これ、運命の出会いかも!」
私ね、最近、バイト先の先輩が、
ちょっと私を見てくれた気がしてるの。
そんな先輩を意識し始めたら、もう止まらない!
(これで、もっと私に夢中にさせられるかも!?
でも、こんなセクシーなの、私なんかが着て
いいのかな?逆に引かれたらどうしよう?)
私の中の「恋する乙女」と「不安な自分」が
ぐるぐる戦うの。
でも、このベビードールが、
運命を変えるかもしれないって、
そう信じちゃったのよ。
「……よしっ!私、頑張るから!」
ついに、ポチッ。
画面が切り替わった瞬間、心臓が爆発しそう!
「きゃあああ!買っちゃった!」
もう、胸のドキドキが止まらない。
まるで、先輩との初めてのデートが決まったみたいに、
全身がふわふわしちゃった。
数日後。
ピンポーン♪
「きたっ!運命の扉開くっ!」
玄関で受け取ったのは、先輩への誕生日プレゼント。
「ありがとうございますー!」と、最高の笑顔で対応。
ドアを閉めて、「これで先輩も喜んでくれるはず!」
くるくる回って、妄想が止まらない。
午後。
ピンポーン♪
「……っ!!」
今度は胸がドクドクうるさい。
(これ……まさかベビードール…!?)
「はーいっ!」
玄関を開けると、さっきと同じお兄さん。
にっこり。「○○さん、お荷物ですー」
「は、はいっ!あ、ありがとうございますっ!」
軽くて小さな箱。なのに、**私の胸が、
まるで初恋の予感みたいに、
甘く、そして激しく高鳴っていたの。**
部屋に戻った瞬間。
「きゃーーーっ!!」
箱を抱えてぴょんぴょん飛び跳ねる。
ベッドにポスン!ゴロゴロ、
クッションを抱きしめる。
ぺりぺり…カサカサ…。箱を開けると、
ふわっと真っ赤なレース。
「……っやばい、情熱的すぎるっ!
まさに恋のベビードール!」
そっと肩にかけると、冷たいレースがひやっ。
「ひゃっ…」普段は出さないような、
甘いため息が漏れた。
鏡の前でくるり。
「……っ!」
そこにいたのは、今までで一番、
魅力的で、ドキドキが止まらない私。
これなら、先輩だって、きっと……!
ベッドにダイブして、足をバタバタ。
興奮で体中の血が沸騰してるみたい!
このまま先輩に会いたい!
そのとき――
ピンポーン♪
「…………へ?」
(また宅配!?え、誰!?)
でも、ベビードールに夢中で頭がふわふわしてた私。
深く考えずに、恋する乙女のテンションのまま
玄関へダッシュ!
ガチャッ。
「○○さん、こちらもお荷物ですー」
「あ、ありがとうございますっ♡」
にこにこ受け取って、受領のサインをカキカキ。
その時――
お兄さんの視線が、ふっと下に滑った。
私の肩から胸へ、ひらひらの真っ赤なレースを
一瞬だけ見て、気まずそうにパッと目を逸らす。
(……えっ)
ズクン。心臓が一拍遅れて大きく跳ねる。
「え?今のって……もしかして……!」
顔が一気にカーッと熱くなる。
でも、それは恥ずかしさだけじゃない。
(もしかして、お兄さんも私に、
ちょっと気があるのかも!?
うわあ、どうしよう、新しい恋の予感!?)
「あ、ありがとうございましたっ!!」
どもって頭を下げると、顔から火が出そう。
慌ててドアを閉める。
カチッ。
玄関の鍵が閉まった途端。
「……………………………………きゃっ♡」
ゆっくり自分を見下ろすと、そこには
ひらひら揺れる真っ赤なレース。
「…………………………きゃああああああああああああああああああああっっ!!!」
頭を抱えてバタバタ玄関にしゃがみ込む。
(やばいやばいやばいやばい!!
私、これ着たまま宅配受け取っちゃったじゃんっっ!!
お兄さん絶対見た!!絶対気まずそうだった!!
うわああああああ~~~~っ!!
でも、もしかして、お兄さんも!?
このベビードール、恋を呼ぶアイテムだわ!)
部屋に駆け戻って、ベッドにダイブ。
クッションを抱きしめてバフッと顔をうずめる。
「もうやだ~~~~っ♡でも、嬉しい!」
声が裏返って、泣きそうで、でもちょっと笑ってしまう。
恥ずかしい、死にたい、消えたい……!
でも、鏡に映る真っ赤なベビードール姿の私が、
やっぱりめちゃくちゃ可愛い。
そして、まさかのダブルで恋の予感!?
(……まあ、いっか!誰にも言わないし、
このドキドキ、私だけの秘密だし!
新しい恋の始まりかも!)
顔を埋めたまま、胸の奥がドキドキ止まらなかった。




