第10話 明るいけどどこか無理している妹キャラの秘密
20歳。大学では、いつもニコニコ。
周りからは「可愛い妹キャラ」って
言われる私。みんながそう見てくれるから、
私もその期待に応えなきゃって、
いつも頑張ってる。でもね、本当は、
もっと大人な自分にも憧れてるんだ。
ある日、友達とカフェでおしゃべりしてた時、
ふとファッション雑誌に載ってた
セクシーなランジェリー特集に目が留まったの。
「えー、これヤバくない!?見せられないよー!」
って、いつもの私を演じながら、
実は心の奥では、すごく惹かれてた。
家に帰って、こっそりスマホで検索。
画面に現れたのは、大人っぽい黒いレースの
ベビードール。
「……うわ、かっこいい……」
でもすぐに、いつもの自分が顔を出す。
(こんなの買ったら、私らしくないよね?
みんなが知ってる私じゃない。
もし、バレたら……幻滅されちゃうかな?)
「妹キャラ」を崩したくないって気持ちと、
「大人な自分も試したい」っていう
本当の気持ちが、心の中でシーソーみたいに揺れる。
誰にも知られずに、こっそり。
それなら、いいよね……?
「……よし、これは私だけの秘密ね!」
ついに、ポチッ。
画面が切り替わった瞬間、心臓が跳ね上がった。
「きゃっ!やっちゃったー!」
普段の私からは想像できない、ドキドキ。
この背徳感が、なんか、たまらなく刺激的だった。
数日後。
ピンポーン♪
「きたっ!」
玄関で受け取ったのは、サークルの資料。
「はーいっ!ありがとうございますー!」
元気いっぱいに対応。
ドアを閉めて、「これで準備万端だよー!」
くるくる回る。
午後。
ピンポーン♪
「……っ!!」
今度は胸がドクドクうるさい。
(これ……まさかベビードール…!?)
「はーいっ!」
玄関を開けると、さっきと同じお兄さん。
にっこり。「○○さん、お荷物ですー」
「は、はいっ!あ、ありがとうございますー!」
軽くて小さな箱。なのに、**私の胸の奥が、
まるで隠し事がバレそうな時みたいに、
ズキズキと痛み出した。**
部屋に戻った瞬間。
「……っはぁ……」
箱を抱えて、そのままベッドにそっと置く。
落ち着かない。手が震えるのを感じる。
ぺりぺり…カサカサ…。箱を開けると、
ふわっと黒いレース。
「……っやばい、超大人っぽい……」
そっと肩にかけると、冷たいレースがひやっ。
「ひゃっ…」普段は出さないような、
甘い声が漏れた。
鏡の前でくるり。
「……っ!」
そこにいたのは、いつもの私じゃない。
ちょっと背伸びした、大人な私。
でも、それが私だって、心の奥が教えてくれた。
ベッドにダイブして、顔をクッションに埋める。
興奮で体が熱い。
そのとき――
ピンポーン♪
「…………へ?」
(また宅配!?なに!?)
でも、ベビードールに夢中で頭がふわふわしてた私。
深く考えずに、さっきの元気いっぱいの
テンションのまま玄関へダッシュ!
ガチャッ。
「○○さん、こちらもお荷物ですー」
「あ、ありがとうございますっ♡」
にこにこ受け取って、受領のサインをカキカキ。
その時――
お兄さんの視線が、ふっと下に滑った。
私の肩から胸へ、ひらひらの黒いレースを
一瞬だけ見て、気まずそうにパッと目を逸らす。
(……えっ)
ズクン。心臓が一拍遅れて大きく跳ねる。
「え?今、まさか……!?」
顔が一気にカーッと熱くなる。
冷や汗がドッと噴き出した。
バレた、バレたよ!私の秘密が……!
「あ、ありがとうございましたっ!!」
どもって頭を下げると、顔から火が出そう。
慌ててドアを閉める。
カチッ。
玄関の鍵が閉まった途端。
「……………………………………やだぁ……」
ゆっくり自分を見下ろすと、そこには
ひらひら揺れる黒いレース。
「…………………………きゃああああああああああああああああああああっっ!!!」
頭を抱えてバタバタ玄関にしゃがみ込む。
(やばいやばいやばいやばい!!
私、これ着たまま宅配受け取っちゃったじゃんっっ!!
お兄さん絶対見た!!絶対気まずそうだった!!
うわああああああ~~~~っ!!
私の妹キャラが崩壊したあぁぁぁ!)
部屋に駆け戻って、ベッドにダイブ。
クッションを抱きしめてバフッと顔をうずめる。
「もうやだ~~~~っ♡誰にも言わないでぇ!」
声が裏返って、泣きそうで、でもちょっと笑ってしまう。
恥ずかしい、死にたい、消えたい……!
でも、鏡に映るベビードール姿の私が、
やっぱりめちゃくちゃ可愛い。
(……でも、いっか!誰も見てないもん!
これも、私の新しい一面だし、ね!)
顔を埋めたまま、胸の奥がドキドキ止まらなかった。




