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第16話 生きる方が戦いなんだって

 ネムが成長期を迎えていた頃、再び逃げたマッドを追いかけているメルクが立ち止まる。


「いや、別に無理に倒す必要は無いんでした。戦う気が無いならこのままやり過ごしますか」


 そんな事を呟いていると、またしても森の奥から泥団子がメルク目がけて飛んで来る。

 それをいとも簡単にかわすメルク。


「はあ……やれやれ……」


 フウッとため息をつくメルク。


「何度も言いますが、不意打ちは僕には通じませんよ? まともに戦う気が無いのならこのまま引いてください。僕は追撃したりなんかしません。でもまだ戦うと言うのなら、僕も本気でやらせて頂きます!」


 そう言って上空に向かって一本の矢を放つメルク。

 その矢が上空に魔法陣を描くと、その魔法陣から雨が降りそそぐ。


「魔装‼︎」


 メルクが叫ぶと身体についた雨の雫が光を放ち、その光が消えると弓道選手の様な衣をまとったメルクが現れる。

 その直後、また森の中から飛んで来た泥団子を素早く構えた弓で撃ち落としたメルク。


「なっ⁉︎」


 一瞬声がした方向に矢を放つメルク。


「うひゃあ!」


 慌てて飛び出して来るマッド。


「クソゥ! 負けないぞー!」


 隠し持っていた無数の泥団子をメルクに投げつけるマッド。


「負けられないのはこちらも同じです」


 そう言って、マッドが投げた泥団子を避けるでは無く全て矢で撃ち落としたメルク。


「な……か、かわしたり防御したりするんじゃ無く、全部撃ち落としただって〜!」


 唖然とするマッド。


「全然当たりそうに無い泥団子まで全部……」


「いや、わざとですからね! えと、つまり……こういう言い方はあまり好きではありませんが、これで実力差が分かってもらえましたか?」


「そ、そうだね……どうやら僕には勝ち目が無さそうだ……もう降参……」


 その言葉を聞いて弓を降ろすメルク。


「……する訳無いだろー! 喰らえ! 僕の最高傑作!」


 一瞬の隙を突いて、今までで最も真円に近い泥団子を投げるマッド。


「不意打ちは通じないと言ったでしょ」


 一瞬で構えた弓で矢を放ち、あっさりマッドの泥団子を撃ち落としたメルク。


「ああー‼︎ ぼ、僕が一週間かけて作った最高傑作がー!」


「なら、もう打つ手はありませんね? さあ、降参してください」


 しばらく項垂れていたマッドがバッと顔を上げ、再び森の中に逃げようとする。


「まだ泥団子は他にもあるもんねー!」


「いい加減にしなさい! 超長距離飛翔の僕の奥義にパティさん直伝のこの技を加えた矢なら、例え地の果てまで行こうと逃しません! ホーミングアロー那由多!」


 相手が近い事もあり、無詠唱で奥義を放つメルク。


「なあああー‼︎」


 その矢を必死にかわすマッドだが、メルクより放たれた数本の矢はどこまでもマッドを追跡した。


「な、何で矢の軌道が変わるんだよー⁉︎」


「安心してください。本来ホーミングアローは自分自身も飛翔して矢の威力を上げる技ですが、僕はあくまで追尾能力だけを特化させているので威力自体は大した事無いですから。とはいえ、勿論矢ですから当たればそれなりに痛いし、当たり所が悪ければ死にますけどね」


「優しい顔して怖い事言わないで〜‼︎」


「早く降参した方が良いですよ? その矢は僕が解除しないか僕の魔力が尽きない限り永久に追尾しますからね」


「こ、これは……さすがに……し、しんどい……ハッ!」


 何かに気付いたマッドが木陰に飛び込もうとする。


(確かこの辺りにも泥団子を隠してあった筈!)


 だがマッドが飛び込むより早くメルクの矢が木陰に飛び込み、隠してあった泥団子を全て破壊した。


「なああー! な、何で隠してた泥団子の位置が分かったんだよー⁉︎」


 ボヤきながら再び逃走を始めるマッド。


「この技は相手の魔力や生命反応を感知して追尾してますからね。隠してあった泥団子に残った魔力に反応したんでしょう」


「そ、そんな……ハアッハアッ。それじゃあもう勝ち目は、ハアッ、無い……」


「分かったでしょう? 無益な殺生はしたくありません。降参するなら技を解除しますよ?」


 散々走り回って既にフラフラのマッド。


「くう〜。こ、こんな情け無い負け方……ぼ、僕にだって魔王軍のプライドがある! せめてあんたを道連れに死んでやるー!」


 意を決したようにメルクに向かって走り出すマッド。

 同じく意を決したような表情で目を閉じるメルク。


「そうですか……出来れば殺したくはありませんでしたが、仕方ありませんね……」


 顔を上げて一気に魔力を高めて叫ぶメルク。


『ホーミングアロー那由多! サウザンド!」


 メルクの周りに現れた千本の矢が一斉にマッドに襲いかかった。


「まいりましたあああー‼︎」


 走り込んだ勢いのまま地面に頭を擦り付けて土下座をするマッド。


「へ⁉︎」


 拍子抜けしたメルク。

 

「と、止まれ〜‼︎」


 慌てて静止をかけた矢は、マッドを取り囲むように寸前で何とか止まった。


「降参……ですか?」


「ハイぃ〜‼︎」


「魔王軍のプライド、は?」


「プライドより生きて面白可笑しく生きる事を選びましたああ〜‼︎」


「う〜ん。まあ良いでしょう。生きる方が戦いだって、誰かが言ってましたしね」


 メルクVSマッド いきなりの決着!







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[一言] 那由多とサウザンドとりあえずいっぱい( ˘ω˘ )
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