表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/118

第12話 ザ! むにゅむにゅ

 ナオ達BL&HEN隊連合軍が、ジュディ&フライの軍を倒した頃、別の場所でまた新たな戦いが始まろうとしていた。


 ひとり森の中を彷徨っているメルク。


「みんなどこ行ったんですか〜? 僕ひとりじゃ心細いですよ〜! ユーキさ〜ん! アイバーン様〜!」


 そんなメルクの前に、ひとりの少年が現れる。


「え⁉︎ 子供⁉︎」


 その少年は地面に座り込み、ひたすら泥団子を作っていた。


「こんな所で何をしてるんですか?」


「見て分からない? 泥団子を作ってるんだよ」


「泥団子? ああ〜、完全な球体になるようにしたりピカピカにしたりするやつですか?」


「そうだよ。綺麗な丸にするのが凄く難しくてね……まんまるに出来たらね……」


「出来たら?」


「球の威力が増すんだよ!」


 地面にいくつか置いてあった泥団子を手に持ち、いきなりメルク目がけて投げつける少年。


「危なっ!」


 かろうじてかわした球は後ろの木に当たり、幹を突き抜けて行った。


「いい〜っ⁉︎ な、何て威力ですか? ホントにただの泥団子ですか⁉︎」


「ただの泥団子だよ? ただし僕の固有能力、泥弾弧(でいだんく)で強化された泥団子だけどね!」


「やはり魔族! 僕はメルク! あなたは?」


「僕はマッド! 七星魔天ザムス様の配下のマッドだ!」


 地面に置いてある泥団子をどんどん投げ付けるマッド。

 それを何とかかわすメルク。

 側から見れば子供の遊びである。


「あ‼︎」


 突如マッドの手が止まる。


「泥団子無くなっちゃった……」


 それを見たメルクが、具現化させた弓を構える。


「ね、ねえ! 僕と一緒に泥団子作らない?」


「いや、作りませんよ!」



 メルクが泥遊びをしている頃、同じく森の中を歩いていたメリアの前に、農家のような格好をしたひとりの男が現れる。

 巨大なリュックを傍に置いたその男は、座り込んでリンゴを食べていた。


「あなたは……あなたも、魔族なのか?」


 余りにも平和そうな姿を見たメリアが思わずたずねる。


「ん? そだぞ。オラはザムス様の配下のシードだぞ。どうだ? こっちに来て一緒にリンゴ食わねぇか?」


「いや、遠慮しておこう。敵地で敵に差し出された物を口に入れる程、私は愚かではない」


「はあ〜。めんこい顔して、お堅いおなごだなぁ〜」


 胸のペンダントを引き、具現化させた槍を構えるメリア。


「黙って通すなら見逃す! だが、邪魔をすると言うなら力ずくで押し通る!」


「お、おっかねぇおなごだなぁ〜。オラ、戦いはあまり好きでねぇが、ディア様の為にも黙って通す訳にはいかねぇだ!」


 真剣な表情になり、すっと立ち上がるシード。

 警戒するメリア。

 次の瞬間、手に持っていた食べかけのリンゴを大急ぎで平らげるシード。


「いや、まだ食べるのかっ⁉︎」


 メリアが一瞬気を抜いた時、口の中からメリア目がけて何かを飛ばしたシード。


「なっ⁉︎」


 驚異的な反応で咄嗟に槍でその何かを弾き飛ばしたメリア。


(何かを飛ばした? ふくみ針? いや、それにしては質量も威力も大き過ぎる!)


「あれをかわしただか? すんげぇ反射神経だなぁ。なら仕方ねぇ」


 メリアが追撃を警戒していると、何とシードはまた座り込んで、今度はマスカットを食べ出した。


「んなっ⁉︎ いったいどういうつもりだ⁉︎ 戦いの最中に!」


「どうもこうも、オラは果物が大好きでよ〜」


「食べたければ戦いが終わった後に食べればい……」


 メリアが言い終わる前に、また何かを口から飛ばしたシード。


「クッ!」


 今度は上体だけでかわすメリア。


「人が喋ってる途中で……」


 だがお構い無しに、次々に何かを飛ばすシード。


「クッ! このぉ!」


 怒りながらも、全ての物体を弾き飛ばしたメリア。


「はぁ〜ん。なるほどな」


 何かに気付いたメリアがニヤリと笑う。


「な、何だべ?」


「今の攻撃は数こそ多いが、威力自体は先程より遥かに劣る。つまりお前の能力は、食べた果物の種を強化させて飛ばす事だろう⁉︎」


「んなぁっ⁉︎ よ、よくぞ見破っただ。そう、オラの固有能力は飛種死(ひしょうし)……食べた果物の種に魔力を込めて飛ばす能力だー!」


 シードの言葉に、何故か驚いた表情のメリア。


「いや、自分で言いながら余りにも馬鹿馬鹿しくて笑いそうになったが、まさか本当に当たっていたとはな……」


「酷いだす!」



 同じ頃、森の中を迷っているクラフトもまた、別の魔族と遭遇していた。


「ノアちゃんやーい! ジアちゃんやーい! どこだー!」


 2人の名を叫びながら歩いていたクラフトだったが、ふと立ち止まり空を見上げる。


「あれ? 俺、何してたんだっけ……?」


 おかしな事を呟いたクラフトが、ブンブンと首を振る。


「いやいやいや! 何バカな事言ってんだ俺様は⁉︎ ノアちゃんとジアちゃんを取り戻しに来たんだろうが!」


 気合いを入れ直して歩き出したクラフトだったが、また少し歩いた後に立ち止まり、ボーッとして何かを呟き始めた。


「そういえば昨日の晩飯、何食ったっけな〜? 早く帰って美味いメシを……いや、違うだろ!」


 自分の頬をバチーンと叩くクラフト。


「何だ⁉︎ 頭がうまく回らねぇ⁉︎ ちゃんと朝飯食ったんだがなぁ?」


「フッフッフッ。それは自分の能力だよ」


「誰だっ⁉︎」


 クラフトの前にひとりの男が現れる。


「何だテメェは? テメェもあの……何だっけ?」


「自分の名前はハーディ。あの……あれだ! 七せい……何とかの第三? に、二位、ザ……む? むにゅむにゅの配下だ!」


「いや、自分の上司の名前忘れんなよ!」


「ザ! むにゅむにゅだ!」


「な訳ねーだろっ!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ザ・むにゅむにゅ(¥108)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ