第11話 見た目が少女なら有り
勝利目前で召喚獣ユーキが消滅してしまい、呆然となるパル&チル。
「こ、これは……いよいよシャレにならない状況になったのよ……」
「チルのお腹も緊急事態なの〜」
一方、ギリギリの所で命拾いしたフライが、安堵のため息をつく。
「ふい〜。まさか産まれたての召喚獣にここまで押されるとは……わしの能力をもってしても防戦一方じゃった。末恐ろしい娘達じゃのう……」
そんなフライに質問するチル。
「あなたの能力って何なの〜?」
「わざわざ敵に自分の能力を教えるバカは居ないのよ!」
「わしの能力か? わしの固有能力は、念離衰。相手との年齢差があればある程強くなる能力じゃよ」
「あっさり教えたのよ〜⁉︎」
「フォッフォッフォッ。別に構わんよ。知られたからと言って、お前さん達との年齢差が埋まる事は無いからのぅ」
「た、確かに……それが本当なら、頑張ってどうこうなる問題じゃ無いのよ……」
パルが絶望感に襲われていると、チルが口を開く。
「パルも大人になれば良いの〜」
「何言ってるのよ? 急に大人になんてなれ……」
言い終わる前に、目の前のチルの姿を見て言葉が詰まるパル。
そこには、まるで幽霊のような淡い姿をしたチルが宙に浮いていた。
「あ、あんたはっ‼︎」
「合体するの〜」
「そ、それは霊体が抜け易くなるからなるべくやらないようにって、フィー姉様に言われたのよ!」
「でもこれなら少しでも年齢が上がるの〜。それに、パルと合体したら無敵なの〜」
「チル……」
顔を伏せ、少し考えたパルだったが、振り切ったようにバッと顔を上げる。
「まったくあんたは……普段はすっとぼけてるクセに、こんな時の思いきりだけは良いんだから! なら、チルが天に召される前に合体するのよ!」
「フォームアップなの〜!」
パルとチルの身体が光に包まれる。
「む⁉︎ 何をするつもりじゃ?」
2人の光が重なりひとつとなりそこから現れたのは、少し成長した姿のパルであった。
「合体完了なのよ」
「合体じゃと⁉︎ 確かに見た目は少し変わったようじゃが、他に何が変わったと言うのかの?」
「格段に強くなったのよ!」
凄まじいスピードでフライに接近するパル。
「速いっ!」
先程の召喚獣ユーキに負けないぐらいのスピードで、フライに猛攻をかけるパル。
「グッ! さっきの娘っ子に勝るとも劣らん強さ⁉︎ しかも召喚士が直接攻撃を仕掛けてくるとは……しかしのっ!」
パルの猛攻を凌ぎ切ったフライのボディブローがパルの腹に突き刺さり、吹っ飛ぶパル。
「グハアなのよ〜!」
地面に激突寸前、クルリと受け身を取り着地するパル。
「ま、まさか……この姿でもまだ勝てないのよ⁉︎」
「だから言ったじゃろう? わしの能力は相手との年齢差があればある程強くなるんじゃ。確かに妹と合体して年齢は上がったかもしれんが、それはあくまで見た目だけの問題じゃ。実際の年齢差が縮まった訳では無いからのぅ。とはいえ、その若さでその戦闘力には驚かされたがのぅ」
(クッ、これはもうガチで打つ手無しなのよ……いや、まだ獣魔装が残ってるけど、魔装する魔獣が居ないのよ。どの道チルにはもう、魔獣を召喚する余力は無かったのよ)
「フォッ。どうやら観念したようじゃの? 見逃してやろうかと思ったが、これ程の戦闘力を持った者をディア様の元へ行かせるのはさすがに危険じゃからな……可哀想じゃが、ここで死んでもらうぞい」
そう言いながらゆっくりとパルに近付き、絶望し動けないパル目がけて手刀を振り上げるフライ。
「む、無念なのよ〜!」
覚悟を決めて目を伏せるパルに、フライの手刀が降りおろされた。
「何簡単に諦めてるの? あなた達の可能性はそんなもんじゃ無いでしょ?」
「何じゃ、お前さんは⁉︎」
「ほぇ?」
その声に顔を上げるとそこには、フライの手刀を巨大なハンマーで受け止めたラケルが居た。
「よくもパルとチルをイジメてくれたなー! お年寄りだからって許さないぞー‼︎」
「フォッ。お仲間の登場か? じゃがいくら増えようとも、その若さでは……」
ラケルがぶん回したハンマーをモロに喰らい、吹っ飛ぶフライ。
「グハアアアー‼︎ バ、バカな⁉︎ 何じゃこのパワーは⁉︎ 先程までの娘達とは次元が違う⁉︎ その若さでこれ程ダメージを受けるなどあり得な……」
何かに気付いたフライ。
「お主、実は老けておるの⁉︎」
ラケルの額がピクっとなる。
「見た目は少女じゃが、実年齢はわしと変わらんじゃろ⁉︎」
更に額がピクピクとなるラケル。
「俗に言う、ロリババアと言うやつじゃろー‼︎」
「そこまで老けて無いわよぉぉー‼︎」
フルスイングしたハンマーに、更に吹っ飛ばされるフライ。
「ホームラーン‼︎」
「パル‼︎ 合体して一気に仕留めるよ‼︎」
「わ、分かったのよ!」
何と、再び光をまとったパルとラケルがひとつとなり更に成長した姿のパルが現れる。
「行くのよ!」
あり得ないぐらいの高さまでジャンプしたパルがクルリと1回転して、更に巨大になったハンマーを振りかぶりながらフライ目がけて急降下して行く。
先程のラケルのダメージにより、逃げる事が出来ないフライ。
「ま、ままままま、待つんじゃ‼︎ 死ぬ死ぬ‼︎ さすがにそれは死ぬぞぃ‼︎」
「パル達を殺そうとしたクセに、何を今更なのよ! 《ジャッジメントぉぉー! ハンマぁぁぁー‼︎》」
「イヤアアアアー‼︎」
光り輝く巨大ハンマーがフライに炸裂した。
「い、生きてて良かった……ガクッ」
「ちゃんと潰れない程度に手加減はしたのよ」
パル&チル&ラケルVSフライ
ラケルが現れ年齢差が一気に縮まった事により、パル達の勝利。




