第9話 予想通りのオチです
巧みな? 話術により、アボリーの能力を理解したニーナが対策を考える。
(ゲームで課金したアイテムを具現化する能力……あいつの言葉を信用するなら、あのスマホを何とかすれば話は簡単よね? とりあえずやってみるか!)
アボリーが持つスマホに狙いを定めたニーナが、攻撃を再開する。
「危なっ! ち、ちょっと待って!」
慌てて画面を操作し、ニーナと同じような剣を具現化させて受け止めるアボリー。
「ねえ君! もしかして僕のスマホを狙ってない?」
「当然でしょ? あんたの話が本当なら、そのスマホを奪うなり壊すなりすればいいんだから」
「や、やめてよねー! このスマホ、結構高かったんだからー! 安い給料貯めてやっと買ったんだよー?」
「魔王軍も世知辛いの、ねっ!」
お互いの剣撃で弾け合い、距離が開くと同時にアボリーの剣が消滅する。
それを見たニーナが間髪を容れずに攻撃する。
「ええー、待ってよー!」
ニーナの2連撃を何とかかわしてから画面を操作し、爆弾のような物をニーナに投げつけるアボリー。
「何っ⁉︎」
何かは分からないが、危険を察知したニーナが咄嗟に横っ飛びで爆弾をかわす。
さっきニーナが居た場所に落ちた爆弾が爆発する。
「何⁉︎ 爆裂魔法⁉︎」
「隙ありだよ!」
ニーナが爆発に気を取られている隙に、今度はガトリングガンのような物を構えているアボリー。
「今度は何⁉︎」
ガトリングガンを連射するアボリー。
「クッ!」
頭からダイビングするような形で必死にかわしたニーナだったが、全てはかわしきれず足にダメージを受けてしまう。
《ヒール!》
着地すると同時に傷口に治癒魔法をかけるニーナ。
「まだまだぁ‼︎」
今度はバズーカのような物を構えるアボリー。
「もう! 次から次へ、何なのよ⁉︎」
次々現れる未知の武器に戸惑いながらも、直感と体術により何とか致命傷は避けているニーナ。
(何だか分からないけど、距離をとるのはマズいわね)
自身のJP残量をチラッと見るニーナ。
(さっきから何度治癒魔法を使ってもJPが減ってない……どうやら魔界に居るからって事みたいね。なら、遠慮なく固有能力を使わせてもらうわ!)
《肉体操作!》
固有能力で自らの足の筋力を上げるニーナ。
「よーい……ドン!」
クラウチングスタートの体勢から一気にダッシュしてアボリーに接近するニーナ。
「速い⁉︎ クッ!」
(銃、間に合わない……なら!)
ニーナの速力に驚いたアボリーが攻撃を断念して、防御に徹するべく鎧を具現化させる。
「やあっ‼︎」
今度は腕の筋力を上げたニーナが、振り上げた剣をおもいっきり振り下ろす。
「ガアッ‼︎」
何とか両腕をクロスさせて防御したものの、足がふらつくアボリー。
「な、何て馬鹿力⁉︎」
「レディーに向かって失礼で、しょっ‼︎」
アボリーがフラついている隙に再び大きく剣を振りかぶり、アボリーの横腹目がけて剣を薙ぎ払うニーナ。
「グフゥ‼︎」
ニーナの剣をモロに横腹に食らったアボリーだったが、鎧にヒビは入ったものの、肉体には届いていなかった。
(高ランクの鎧にして良かった……安物だったら今頃胴体が真っ二つだよ。とにかく距離を!)
アボリーが飛行系のアイテムを出そうとした時、正面に立ったニーナがアボリーの両手首を掴み、スマホの操作を阻止した。
「なあっ⁉︎ は、離してよ‼︎」
「離したらまた変な武器出すでしょ?」
「だ、出さないよ? 今、ゴリラみたいなボスとリアルタイムバトルやってるから、早く操作しないとやられちゃうんだよー!」
「誰がボスゴリラよ‼︎」
「ゲームの話だよ〜! え〜ん、離して〜!」
手首を掴まれながらも、何とか片手でスマホを操作するアボリー。
「もう出し惜しみはしないからね!」
アボリーが叫ぶと、ニーナの背後に鎧を着た兵士が現れ、ニーナに剣を振り下ろす。
「クッ!」
地面に刺していた剣を取り、兵士の剣を薙ぎ払った後、用心して少し距離を取るニーナ。と同時にアボリーが着ていた鎧と兵士が消滅した。
「そんなものまで出せるなんてね? でも、今ので一回って訳ね?」
「そうだよ。でもまだまだ行くよー!」
先程の兵士を次々具現化させるアボリー。
「いくら個の力が強くても、結局数には勝てないのさ!」
「このぉ!」
次々に出て来る兵士を、傷を負いながらもどんどん倒して行くニーナ。
「しつこいわねー!」
(でも、私の考えが正しければ、粘っていればいずれは……)
「あっ!」
高速でスマホを操作していたアボリーの手がピタッととまる。
「チャージしてたお金が無くなっちゃった〜」
全ての兵士を倒したニーナがゆっくりと歩いてアボリーに近付く。
「え〜っとぉ……一緒にゲームしない?」
「しないわよ!」
ニコッと笑うアボリーの頭を、剣の腹で殴るニーナ。
「思った通りのオチだった〜……ガクッ」
ニーナVSアボリー
課金し過ぎにより、ニーナの勝利




