第8話 値札を見ずに買い物してみたい
こちらは槍を持って仁王立ちしているレノと、未だにうつ伏せ状態のガラバ。
「だから起きろよ‼︎」
「あと5分〜」
「子供かっ!」
「起きたく無いと言うなら構わん。そのままでいろ!」
そう言って大きく槍を振りかぶり、うつ伏せで寝ているガラバの背中目がけて振り下ろすレノ。
「危っ!」
ギリギリの所で槍をかわし、慌てて飛び起きるガラバ。
「ね、寝てる相手に攻撃するなんて、卑怯だろー‼︎」
「お前がいつまでも寝ているからだろ!」
「オカンかっ⁉︎」
「誰がオカンだっ!」
(ようやく起きたは良いが、確かにあの石頭はやっかいだな……なら!)
《サンダーアロー‼︎》
構えた槍の先から、雷がほとばしる。
「ハアッ!」
何とガラバは、その雷すらも頭で弾き返してしまった。
「何だと⁉︎」
「ハッハー! 驚いたようだなー? 俺様の石頭はただ硬いだけじゃ無ぇぜ? 何しろ魔法だって何だって跳ね返しちまうんだからな!」
「確かに厄介だが……それだって魔法耐性が付いている防具を着れば同じ事……」
「貧乏で悪かったなっ! このセレブがー‼︎」
怒ったガラバが、頭を突き出しながらレノに突進する。
「ぐふぅ!」
「手応え有り!」
ガラバの頭がレノの腹に突き刺さったかと思われたが、何故か平然としているレノ。
「硬いのはお前の石頭だけじゃ無いぞ?」
「何ぃ⁉︎」
慌てて距離を取ったガラバがレノを見る。
そこには、白金色に輝く鎧を全身にまとったレノの姿があった。
「なっ⁉︎ 鎧? いつの間に⁉︎」
「ああそうか……こちらの世界には魔装具という物は無いんだったな?」
「魔装具? そうか、これが……」
「普段はこのペンダントの中に収納されている。持ち運びもし易くて便利だろう?」
「た、確かに……しかし、お高いんだろう?」
「まあ、俺のやつは最高ランクの魔装具だから、庶民には中々手が出せない価格ではあるが、ランクを落とせばお手頃なやつも有るぞ?」
「どこで買える?」
「こちらの世界には無いらしいから、俺達の世界に来ないと無理だな」
「通販はやってないのか?」
「やってねーわっ!」
魔装具に興味津々のガラバであったが、諦めて再びレノに突進する。
「やはり俺様はこの鋼鉄の頭さえ有れば良いぜー‼︎」
ガラバの頭突きがレノの腹に炸裂するが、全く微動だにしないレノ。
「俺が魔装した以上、もうお前の石頭は通用しない!」
槍を薙ぎ払うレノ。
「グウッ!」
かろうじて頭で防御するガラバ。
「ふう、危ないとこだったが、俺様の鋼鉄の頭とこの反射神経が有る限り、お前の攻撃が俺様に届く事は無い!」
「だがそれはつまり、頭以外の防御力は無いに等しいと言ってるようなもんだろ?」
痛いところを突かれ、動揺するガラバ。
「だ、だから! この頭と雨粒さえ避けられる俺様の反射神経が有れば!」
「だから子供かっ!」
持っていた槍を地面に突き刺し、両手を左右に広げるレノ。
「何だぁ? 俺様の石頭に敵わないと見て降参したかぁ?」
「いや、石なのか鋼鉄なのかどっちだよ⁉︎」
「こ、鋼鉄の石頭だ!」
「訳分からんわ! まあ要するにだ……石だろうが鋼鉄だろうが硬いのは頭だけみたいだからな。ならば、お前の反射神経で対応しきれない攻撃を、頭以外の場所に当てれば良いだけの話だろ?」
《バリアードーム!》
レノとガラバを包み込むように、透明なドームが現れる。
「な、何だぁ⁉︎」
《ディスチャージ!》
レノから放たれた雷が、ドームの内部で乱反射を繰り返しながら、ガラバに襲いかかる。
「クッ! なんのこれしき!」
かなり無理な体勢になりながらも、何とかその雷を頭で弾き返すガラバ。
「確かに速いが、この程度なら全然余裕だぜ!」
「フッ、中々頑張るじゃないか」
ドームの中で乱反射を繰り返す雷だが、その雷の一部はたまにレノ自身にも当たっていた。
「痛っ! グッ! あ痛っ!」
「いや、自分で食らってるじゃねぇか!」
「そういう技だからな。だが、俺はこの鎧によって殆どダメージは抑えられているが、お前は一発食らえばアウトだろう?」
「そりゃあ当たればの話だろ? さっきも言ったが、この程度の速度ならっ!」
「ああ、言い忘れていたが、俺の放った雷はこのドームの壁に当たる度に速度が増して行くぞ?」
「何ぃ⁉︎」
レノの言葉通り、どんどん速くなって行く雷に、だんだん反応しきれなくなって行くガラバ。
「ちょ、ちょっと待って! は、速過ぎ……」
必死に食らい付いていたガラバであったが、あまりに速く頭を振り過ぎた為にめまいを起こしてしまう。
「は、はれ? 世界がぐるぐる回って……グギャアッ‼︎」
フラついて動きが止まったガラバに、遂に雷が炸裂した。
「お、俺様も……魔装具、ほ、欲しい……」
「俺達の世界に来たら、買ってやるよ。安物で良ければな」
「ケチ……ガクッ」
レノVSガラバ
貧富の差で、レノの勝利




