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第6話 友達たくさんできるかな?

 選考会が始まるまでの数日、メイド喫茶で働いていたノア達は客達から大量のオーラを受け、十分な量のJPを確保していた。


 しかしその反面、精神的にはかなり疲弊し、みな生ける屍と化していた。


「どうしたのよみんな⁉︎ 明日からいよいよ選考会が始まるっていうのに、そんなんで大丈夫なの⁉︎」


「い、一体誰のせいだと思ってるんですか?」


「何よ? 私のおかげでこんな短期間でいっぱいJPをゲット出来たんでしょ⁉︎」


「そのおかげで心を削られて、この様じゃがの」


「いつまでもつまんないプライドを持ってるからよ! 見なさいよ! ジアちゃんなんか全然平気な顔してるじゃないの⁉︎」


「いや、まるであたしがプライドを捨ててるみたいに聞こえるんだけど〜⁉︎ あたしは過去にも経験してるからさ。まだみんなよりは耐性があっただけだよ」


「そっか……じゃあ次からはノアちゃん達も慣れて平気になるわね?」


「二度とお断りじゃっ‼︎」



 そして遂に、選考会の日を迎える。


 闘技場の周りには、既に大勢の人達が押し寄せていた。

 臨時の屋台もたくさん出店し、完全にお祭り状態だった。


「美味そうな店がいっぱい出てるじゃねーか⁉︎ ちょっと行ってくるわ!」


 嬉しそうに屋台に走って行くクラフト。


「闘いが控えてるんだから、程々にしときなさいよー⁉︎ ってあのバカには言うだけ無駄よね」


「ですね。しかし本当にお祭りみたいですね? 街の運命を決めるような重要な選考会だというのに……」


「まあ、敢えて派手にする事で、観客のオーラを冒険者に集めようとしてるんでしょうけどね」


「なるほど……」


 そんな会話をしているナオとニーナを他所に、目を輝かせてよだれを垂らしながら屋台を見つめているノアとジア。

 それを見たニーナが、やれやれといった表情になる。


「まったく……まだ時間あるから、あんた達も行ってきていいわよ⁉︎」


「よ、良いのか⁉︎」


「ちゃんと開始時間までには戻って来るのよ⁉︎」


「了解じゃ‼︎」


「やったねノアちゃん! 行こ!」


「うむ!」


 ジアがノアの手を引き、走って行く2人。


「フフ。あの2人、まるで姉妹のようですね?」


「ナオも混ざれば3人姉妹になるわよ?」


「自分は男ですから!」


「な〜に? あなた、まだ諦めて無かったの?」


「いや、何を諦めるんですかっ⁉︎」


 ナオが男への未練を捨て切れないでいた頃、屋台を次々に渡り歩いて買い食いをしまくっているノアとジア。


「それにしても、ノアちゃんが元魔王ノアールで、ウルちゃんが勇者ウルだなんてね〜? お姉さんビックリだよ〜」


 本格的に勇者チームの一員として戦う事になったジアに、ノア達は昨晩、全ての事情を打ち明けたのだった。


「余り大きい声で言うでないぞ⁉︎ ここには冒険者共が大勢おるんじゃ。余が魔王だとバレたらフクロにされかねん」


「ん〜、今のノアちゃんはノアール時代の力は無いんだよね?」


「JPとやらを使えば、それなりには戦えるがの。やはり全盛期程では無いの」


「それに何より、ノアちゃんは人間を滅ぼす気なんて無いんだよね?」


「お、恐ろしい事を言うでない! そんな事考えたら、リジェネレーションが発動してミジンコになってしまうではないか!」


「ミジンコになるのが怖いからやらないの? じゃあそのジェントルマンとかいう魔法が……」


「リジェネレーションじゃ!」


「その、りじぇねれーしょんとかいう魔法さえ発動しなかったら、ノアちゃんはまた人間の敵になるの?」


「そ、それは……」


 ジアに確信を突かれて、言葉に詰まるノア。

 その質問に、ウルも興味を示す。


『ホー。それは俺も聞きたかった。実際どうなんだ? ノア』


(どうと言われても、それでもし余が変な事を言ってリジェネレーションが発動したらどうするんじゃ⁉︎)


『心配無い。例えお前が人間を殺すと言った所で、それが本心では無く上辺だけの言葉ならば、ミジンコ魔法が発動する事は無い』


(だからミジンコ魔法ゆ〜な!)


 少し考えた後、口を開くノア。


「余は……こんな美味い物を作り出す人間達を殺す気など、無い!」


 手に持ったクレープを掲げながら、力強く宣言するノア。


「だよね? 分かってるな〜、さすがノアちゃん」


 そう反応したのはジアではなく、ノア達の背後に居た少女だった。


「何っ⁉︎」


 振り返り、いきなり名を呼ばれた事に警戒するノアとジア。


 その少女は推定年齢16歳程で、茶髪で胸元まで伸びたセミロングヘアーの美少女だった。

 少女は右手に焼きトウモロコシを持っており、左手には屋台で買ったであろう、様々な食べ物の袋をぶら下げていた。


「誰じゃ、お主は?」


「ノアちゃん久しぶり。アタシだよ」


「久しぶり、じゃと⁉︎」


 その少女の顔をじっと見つめるノア。


「いや、すまんが全く見覚えが無いぞ⁉︎」


「酷〜い! アタシ! ジュディ! 忘れたの?」


「ジュディじゃと……? いや、知らん名じゃ」


「えーっ⁉︎」


『ホー。ノア、本当に知らないのか?』


(知らぬ。そもそも余に貴様ら以外の知り合いなどおる訳が無かろう⁉︎)


『ホー。それもそうか』


(何だか自分で言ってて哀しくなって来たわい……)


『ホー。これから友達たくさん作ればいいさ』


(子供かっ⁉︎)





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