第2話 メイド喫茶なんて、誰が考えたんだろう?
国王と謁見したノア達が、今後の事について話し合っていた。
「選考会までどうすんだ? また自由時間か?」
「バカね! 選考会はバトル形式なんだから、それに備えてJPを集めなきゃでしょ⁉︎」
「でもどうするのですか? クエストには行けない訳ですし、それ以外に短期間でJPを集めるのは中々困難だと思いますが?」
「フフフ〜。クラフトはともかく、私達美少女隊はいくらでも稼ぎようは有るわよ」
ニーナの怪しい笑いに嫌な予感がしたナオとノアが誤魔化す。
「さ、さあノアさん! 自分達は地道にJPを集めましょう!」
「うむ。そうじゃな! 久しく人助けをしとらんかったしの! やはり勇者パーティーらしく、人々に感謝されてJPを集めんとな!」
逃げようとするノアとナオの肩をガッシリと掴むニーナ。
「「ヒッ‼︎」」
「あら〜? 2人共どこに行くのかしら〜?」
「い、いや、自分達でJPを稼ぎに行こうかと……」
「なら、私がいいお店紹介してあげるわ〜」
「お断りします! ニーナさん絡みだと、絶対いかがわしい店に決まっています!」
「大丈夫よ〜。いたって普通の喫茶店だから。ただちょっと客層が特殊なだけよ〜」
「特殊って何じゃー⁉︎」
「そこなら効率良く稼げるから。ジアちゃんもいらっしゃい! あなたも可愛いからすぐご指名がかかるわ」
「何で喫茶店でご指名がかかるのさー⁉︎」
ひとり残されたクラフトがオロオロしていた。
「オ、オイ、ニーナ! 俺様には何かやれる事は無いのか⁉︎」
「う〜ん。ウルなら可愛いから女性客にはウケそうだけど、筋肉バカのあんたじゃね〜。まあホールにはいらないけど、力仕事で使ってもらえるよう交渉してあげるわ。ついて来なさい!」
「オウ! みんなで楽しくJP集めだー!」
両腕でノアとナオの首をがっちりロックしたまま強引に連れて行くニーナ。
何とか脱出しようともがくノアとナオだったが、ニーナの腕はビクともしなかった。
「な、何じゃこやつの力は? この細い腕のどこにこんな力が⁉︎」
『ホー。無駄だよ。ニーナは肉体操作の能力で力を一点に集中させる事が出来る。見た目は少女でも中身はゴリラだ』
「ウル〜? 今また私の悪口言わなかった〜?」
ギロリとウルを睨みつけるニーナ。
「ホッ⁉︎ ホーホー‼︎」
翼をクロスさせ、バツの字を作るウル。
そしてニーナに無理矢理連れて来られたノア達がやって来た店は、『カチューシャ』という名の店だった。
「ま、まさかここって⁉︎」
「そ。メイド喫茶よ」
「帰ります‼︎」
ナオが逃げようとするが、ニーナの腕は動かなかった。
「メイド喫茶、とは何じゃ?」
キョトンとしているノアに反し、振り返り走り出すジア。
「おおーっとジアちゃん、どこに行くのかな〜?」
ノアを放し、逃げようとするジアの首根っこを捕まえるニーナ。
「離してー‼︎ どこが普通の喫茶店なのさー⁉︎ こんな店だと知ってたらついて来なかったわよー‼︎」
「大丈夫よ! 別に変な事やらせたりしないから!」
「では自分達は厨房を手伝うのですか?」
ナオの言葉に、信じられないと言った表情でニーナが答える。
「はあっ? 何言ってるのよ。厨房に入るのはクラフトだけよ。あたし達美少女組は当然接客担当よ」
「やはり、自分は失礼します!」
必死に逃げようとするナオだったが、ニーナはピクリとも動かなかった。
「大丈夫よ。ナオならすぐに看板娘になれるわ」
「いや、そこを心配しているのではありません!」
「ところでノアちゃんはどこに行こうとしてるのかな〜?」
どさくさ紛れにそおっと逃げようとしていたノア。
「あ、いや……ナオ達がこれ程嫌がるという事は、とんでも無い事をやらされるのかと思うてのう」
「変な事はやらさないって言ってるでしょ? それに、ノアちゃんは着替えなくてもそのままでいいしね」
「やっぱりそういう事じゃないですかー‼︎」
メイド服のコスプレをしたノアを見て、一層暴れだすナオ。
「さあ、店長に話はつけてあるから行きましょ!」
ナオとジアをズルズルと引きずりながら、裏口から店内に入って行くニーナ。
その後ろを、仕方なく付いて行くノア。
中に入ると休憩所らしき場所に、メイド服を着た女性達が大勢居た。
その中のひとりがニーナ達に気付く。
「あ〜! ニーナさんいらっしゃい! お久しぶりです〜!」
それを皮切りに、女性達に囲まれるノア達。
「キャー‼︎ 可愛いー‼︎」
「何々? この娘達、ニーナさんの娘さん⁉︎」
「娘兼嫁達よ!」
「いや、違いますからねっ‼︎」
「店長居る?」
「居ますよ〜。店長ー‼︎」
店員に呼ばれて、30代ぐらいの女性が奥から現れる。
「騒がしいね。何だい⁉︎」
休憩所に入って来た女性が、すぐにニーナに気付く。
「何だ、ニーナかい」
「久しぶりね、ナージュ」
「待ってたよ。雇って欲しいってのはその娘達かい?」
「ええ。どう? みんな可愛い娘達ばかりでしょ?」
ノア達をジーっと見つめるナージュ。
「うん。文句無い可愛さだね! だけど、このちっこい娘は随分幼いようだけど、大丈夫なのかい? 法に引っかかるような事はしたくないよ?」
ノアを指差すナージュ。
「心配無いわ。ノアちゃんは私と同じで、見た目より実年齢はうんと上だからね」
「そうなのかい? ならいいんだけど。それにしても、あんたは実年齢35のくせにその見た目なんだから、ホント腹立つわね」
「あんたも固有能力を身に付ければ、出来るようになるかもよ?」
「羨ましくはあるけど、辛い修行なんて真っ平御免だよ」
そんなニーナ達のやり取りを聞いていたジアが驚いていた。
「二、ニーナちゃんって35歳、なの⁉︎」
「ん⁉︎ ええそうよ。因みにナオは25歳よ」
「ええっ⁉︎」
ボソッと呟くジア。
「こ、この世界の人は、みんな若く見えるのかしら?」
そこへ負けじと、口を挟んで来るノア。
「因みに余は、元魔王にょあああー‼︎」
『余計な事は言わなくていい!』
ウルズクローを食らい、ジアに平伏すような格好で座り込むノア。




