第1話 選考やら選抜やら選出やら、ややこしいね
一夜明けて宿屋を出ると、何やら街中が騒がしかった。
ノア達から、街の近くに七星魔天が現れたと報告を受けた政府により、クエスト禁止令が出た為である。
「クエストに出るなだって⁉︎ 冗談じゃねぇ‼︎ それじゃあどうやって生活して行けっつうんだよ⁉︎」
「でもよー。街の外に出たら、例の七星なんたらって言う魔族が現れるんだろー? 死んじまったら元も子もねーぜ?」
「でも倒したんだろー? 魔族ってのも意外と大したことねーんじゃねぇのか?」
「バカ! 倒したのはあの勇者ウルのパーティーの方だって話だぞ⁉︎ 俺達じゃあ瞬殺されちまうよ! 実際手柄を焦った冒険者達が魔族に挑んで、次々倒されてるって話も聞くしよー」
「じゃあどうすんだよ? その魔族がみんな倒されるまで、俺達冒険者は収入ゼロで生きて行けってのかよ⁉︎」
「まあ待てよ! まだ何か書いてるぜ?」
政府により張り出された、お達しの続きを読む冒険者の男。
「えーっと何々? ついては冒険者救済の為に、5日後闘技場において魔族討伐メンバーの選考会を行う、だってよ⁉︎」
選考会の詳しい内容はこうである。
[無用の犠牲を出さぬよう、討伐隊は政府が認めた実力有る冒険者のみとする]
[その選考会は5日後、闘技場にて行われる]
[出場者はパーティー単位での参加を原則とする]
[いちパーティーの最大人数は5名までとする]
[それ以内であれば何名でも構わない]
[選考内容はバトル形式となる]
[討伐隊に選ばれたパーティーには、相応の保証金が支払われる]
[魔王ディア、七星魔天、並びにそれに関係する魔族を倒したパーティーには、更に褒賞金が与えられる]
というものだった。
それを見たノアの目が光る。
「よ、余達は既に七星魔天を2人も倒しておるぞ⁉︎ その分の金は貰えんのか⁉︎」
「それもそうねー。私達が倒した事は既に知れ渡ってる訳だし、魔王ノアール討伐の報酬もまだ貰ってないし、王様に挨拶がてら交渉してみましょうか?」
「もしお金を貰えたら、当分生活費に困らなくて済みますね?」
「そうね。そしたらノアちゃんやナオの写真を売らなくて済むわね」
「いや、売る気だったんですかっ⁉︎」
因みにこの日のノアのコスプレ衣装は、メイド服である。
早速国王と交渉すべく、城に向かうノア達。
その中にはジアの姿もあった。
「ジアちゃん、本当に私達のチームに入ってくれるの?」
「うん。この街には他に知り合いは居ないしさ。このパーティーはみんな可愛い娘ばっかだしね!」
「照れるじゃねーか!」
頭をかくクラフト。
「あんたが含まれてる訳無いでしょ⁉︎」
あっさり否定するニーナ。
「何だとー! 俺様にだって可愛い所はあるぜ!」
「へえー。どんなとこよ?」
「このピクピク動く大胸筋とか!」
「キモいだけよ‼︎」
そして城に到着したノア達勇者パーティーは、国王の待つ謁見の間に通される。
「おおー‼︎ お主等、待っておったぞー‼︎」
玉座に座っていた国王シーマが、ノア達を見るなり椅子から立ち上がり近付いて来る。
「報告は受けておる! 勇者ウルと魔道士ナオの安否は心配じゃが、よくぞ魔王ノアールを討伐してくれた! ご苦労であった!」
真実を話すと面倒な事になる為、ウルとナオの2人は行方不明という事にしていた。
「何⁉︎ 余はここにおるにゃあああー‼︎」
ウルズクロー、ソフトバージョンで奇声をあげるノア。
『余計な事は言わなくていい!』
そんなノアを含め、ナオやジアをじっと見つめる国王。
「む? 見慣れない少女達がおるようじゃが、新しい仲間かの?」
国王の問いに、ニーナが答える。
「ハイ。魔王ノアールとの戦いで、2人の仲間が行方不明になった為新たにメンバーに加えました、ノアとナオ。そして今度の選考会に同じチームとして参加してくれる、ジアです」
「おおー‼︎ 可愛い娘ばかりで華やかなチームじゃのう! クラフトが羨ましいわい!」
「国王と言えど、この位置は譲りませんからな!」
「ハッハッハッ‼︎ お前は相変わらずだな⁉︎」
「それで国王様。今回はお願いがあってまいりました」
「みなまで言わずともよい!」
ニーナの言葉を遮るように、手をかざすシーマ国王。
「先に七星魔天を倒したんじゃから褒美をよこせと言うんじゃろう?」
「え、ええまあ」
「無論、魔王ノアールを倒した分も合わせて存分に褒美を与えよう!」
「ありがとうございます!」
「ところで、お主等も選考会に出るのか?」
「この国の一大事とあらば、出ない訳にはいかないでしょう」
「そうか。わしはノアールを討伐したお主等なら、選考会など出ずとも無条件で討伐隊のメンバーに加えるつもりだったんじゃがな。勇者ウルを欠いた今のお主等では不安じゃと一部の馬鹿な臣下共がうるさくての」
「それは当然の意見だと思います。大丈夫、選考会で私達新生勇者パーティーの実力を見せつけてやりますよ」
「フフッ。期待しておるぞ」
「ハイ。それでは失礼いたします」
褒美をたんまり受け取ったノア達が城を出ると、溜まっていたうっぷんを吐き出すニーナ。
「なーにが今の私達じゃ不安よ! 現に私達は七転八倒を2人も倒して見せてるでしょーが!」
「七星魔天です、ニーナさん」
(ニーナの奴、急に人が変わりおったのう)
『ホウ。国王の前では猫を被りまくってたから、相当ストレスが溜まっていたんだろう。なにしろこっちが本来のニーナの姿だからな』
「ウル‼︎ 今私の悪口言ってなかった⁉︎」
「ホ、ホー‼︎」
激しく首を横に振るウル。
(ウルの言葉は分からん筈なのに、鋭い奴じゃわい……)




