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レジでの支払いが必要なくなる食料品店Amazon Go がもしも本サービス始まって近い将来日本に上陸したら  作者: 鯣 肴


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4/4

第四話 出口を潜る。そして感想。

【ミネラルドリンク(中硬水) ○○ 520ml \108】


その表記のある棚からボトルを一つ取り、私は出口へと向かった。


 途中、このような棚を見つけて立ち止まる。


【××オーガニック100%オレンジジュース(非濃縮還元) 200ml \108】

【現在品切れ。補給まで約1分。】


 お?


 私は当然、立ち止まり、待つことにした。


 品がどのように補充されるのか私は知らない。私は、この、無人店舗でやってはいけないこと以外、殆ど意図的に調べないようにしていた。


 その方が、実際にこうやって、初めて店舗に来たとき、楽しめるからだ。ぱっと調べてすぐ分かる程度の浅い情報は得るが、ちょっと深く調べないと出てこないことはあえて調べないことで楽しさを残しておくのだ。


 それがこの時代の新しいものの楽しみ方のコツだと私は思っている。


 一分が経過して。


 棚から、機械が動く音がギイギイし、棚の奥の方から、何か上がってきて、バサッ、バサッ、バサッ、バサッ。


 一列分ずつ、ジュースが並んで、射出され、棚へと並んでいく。


 こういったところまで自動化しているのか。これは凄い。人の雇用、物凄い奪うことになりそうな気がするが……。


 おそらく、このリフトのような機械に品を乗せるのが、店員の仕事、となるわけだろう。


 単純労働力仕事。


 とはいえ、ここからその様子が見えるわけではない。その部分も自動化されているかもしれない。人件費が高いといわれる日本では、そういった部分も自動化してシステムを某会社は導入しているかもしれない。


 まあ、想像の範疇でしかないが。


 いいものが見られてよかった。そういうことにしておこう。






 私は買った品を持って、ゲートへと向かう。


 すると、私の前の客がゲートに挟まれていた。ゲートの前後から出た棒によって、挟まれて身動きができないようだ。


 ゲートは機械音声で、このように言葉を発していた。


『アナタ自身ガ入店時ニ掲示シタノト同ジスマートフォンヲ掲示シテクダサイ。』


 その客は、言葉にならない声で、ただ、喚き散らし、もがいていた。そのうち警察がやってきて、そいつに手錠をかけた。そして、店内の客に向けて呼びかけた。


「○田 ×郎さん、いらっしゃいませんか。あなたのスマートフォンを預かっておりますので、ゲートまで来てください。」


 そのアナウンスとともに、慌てて出てきた壮年の男は、警察から事情を聞き、盗まれた自身のスマートフォンを受け取り、店の奥へと、安心した顔つきで戻っていった。


 警察は店内から、その泥棒のスマートフォンを、某企業提供の専用アプリから発せられる詳細な位置情報からあっさりと見つけ出し、泥棒のデニムの後ろポケットにねじ込んだ。


 そして、泥棒は捕まりそのまま連れていかれた。各テレビ局の絶好のネタとなって。


 えっと、確か。


 私はスマホを取り出し、例のキューアンドエーを見た。


 妙に既視感があると思えば、同じような例が、質問の一つにあった。犯人、間抜けすぎるだろう……。目を通しておけば、このような情けない捕まり方はしなかったかもしれないのに。


 私は、ほとぼりが冷めて、ゲート前が静かになったところで、店から出ようとゲートを潜ろうとすると、機械音声で、このように呼びかけられた。


【貴方ガ持チ込ンダ袋モシクハ籠ニ入レタ品物を、全テ出シテクダサイ。】


 あらら。駄目だったか。






 何も、私は犯罪行為に及ぼうとしたわけではない。


 手提げ袋から二つの品物を取り出し、ゲートの下方に出現した、大きな籠へ入れる。


 予め、何かしら買い物用の入れ物を持ってくるようにと告知されていた。店内には、ビニール袋もあるが、それは一枚あたり\108と、買わせる気がない値段をしているからだ。


 とはいえ、問題が少しあった。手提げ袋の素材や厚さによっては、センサーが、品物のラベルに埋め込まれたセンサーのチェックを行えない場合があるそうだからだ。


 スマホがそのセンサーチェックを行い、結果をゲートに送信するそうだ。だから、スマホが、電波感度が悪くなっていたりすると、品を外に出さなくてはならないのだ。


 その場合、ゲートが直接、センサーで品を確認し、それに紐づけされたスマホの持ち主であるかが認識される、という仕組みらしい。


 海外で実際に検証した者がおり、その者がネット上に記事としてばらまいたのだ。だから私はそのことを知っていた。


 私はそれに抵当してしまった。ただそれだけのことだ。ひょっとしたら衝動買いしたくなるような面白いものがあるかもと、大きめの厚手の買い物バックを持ってきてしまったのがまずかった。


 バックには、結局、サンドイッチと水だけしか収められることはなかったのだから。






 私が中身を出して暫くして。チャリン、と音が鳴った。


 決済が終了したのだ。後は通り過ぎればいい。


 私はそれなりにのんびり、というか、とてものんびり、呑気に、周囲をやたらめったらにじっくり観察しながら店内にかなり長い時間いたので、店の入場人数規制は既に終わっていたのだ。


 今日は講義もバイトも入れていない全休日。だからこそ、こんな贅沢な時間の使い方ができたのだ。新しいものに触れる。それはとてもよいものだ。至福の時間だ。年を取ると、こういったことに徐々に興味を持たなくなっていく傾向が人にはあるらしい。


 だからこれは、今しかできない贅沢というやつだ。


 満足した。


 これなら、また今度も使ってみたいものだ。充分実用レベルにある。レジに並ぶ時間がゼロなので、こんな感じで引っ掛かることがあっても、殆ど時間は取られない。とはいえ、さっきのような面倒は減ってほしい。そうすればもっと快適になるのだから。


 にしても、楽しかった。


 そうだ。今度来るときは、私も、海外のネットの彼のように、色々実験してみよう。もう少し珍しいもの見たさで来ている客が減って、落ち着いてきたら。その頃には他の場所にも無人店舗ができているかもしれないし、そっちに行ってみてもいいかもしれない。


 ふふ、これからも楽しみだ。

 

 私はほっこりした顔をしながら、日が出て、少しだけ暖かくなった冬の昼の屋外へと、出て、歩き出した。






 Fin.

amazon go。本サービス無事開始されて、日本に上陸したら是非とも行ってみたいですね。

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