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この世界はすでにエンドロールを迎えている  作者: 文月 イツキ


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20/20

016 イナズマロック

前回までのあらすじ 


白装束、旧神派による戦争勃発を回避するため行動するフォルト一行。ナツメの活躍もあり、窮地を逃れたフェスタとラヴィは聖剣を抜き放ち、事態の発端となったジェットとアパタイトの両名と相対する。


※想定通り更新がべらぼうに遅れたことを謝罪します。ですが私にも言い分がありますので黙って聞いてください。

更新が途絶えていた間、私は絶滅大君と対峙し銀河を救い、マネーウォーズに明け暮れ富の帝王20に到達するという快挙を遂げていました。

皆様が数字を追っている間にも私は真剣に画面と向き合い、英雄たちの最期を見届け、涙を流していたのです。はい、ごめんなさい。めっちゃおもろかったです。

スタレは次のバージョンからその次のバージョンまで更新の期間が空いてしまうのでしばらくは頑張って週一投稿を目指します(時と場合により更新頻度は前後します)そんなんだから固定の読み手が増えないということは、私が一番理解してるので、貴様らは私が飽きない程度に読んでおいてください。

「折角、こちらは貴方がたに合わせて二人でやって来たのに、四人でかかってくるおつもりで?」

「もともと三十人くらいいただろ、そっちはよォ」

「そもそも不意打ち仕掛けようとしてた奴らが何言ってんスかねぇ」


 睨み合う両陣営、構図は四対二。

 

「『忘却』の対処法はすでに共有済み、とっておきの『欺瞞』による奇襲は失敗。いわゆる『詰み』だが……どうする? 今度は身代わりじゃなくて、自分らで撥ねられとくか?」

「お前ら、またやったのか……」


 アインが引いてる。この世界でもカイトスアタックは非常識の範疇で安心した。


「降伏はしませんよ」

「なら仕方ねぇ、ラヴィとソルはジェットを、私とアインでペテン師野郎をしばく」

「「「了解」」」


 相手が抵抗の意思を示すと、「待ってました」と言わんばかりにフェスタの指示が下る。


 ソルは持っていた槍を遠方に放り投げると、それを追いかけるように雷の如きスピードでジェットの首を掴んで走り去って行った。


「カイトス持ってくんで、終わったら来てくださいッス」


 キャラ付けのために無理して「ッス」を付けながら、トテトテと俺たちが待機しているカイトスにラヴィがやって来る。


「アタシは足が速くないんでカイトスでソルに追いつくッス。ってなわけで、アンタらも強制的にこっちでソルの勇姿を観戦するッスよ」

「ウチはフェスタの方見ときたかったのに……」

「わがまま言わんでくださいッスよ。後でプラムに頼んで見せてもらってください」


 チャンネル争いかよ。


「んじゃ、ソルに追いつかんとなんで、飛ばしまッスよ」


 「ッス」ってそう使って良いんだ。


「シートベルトは全員してるという体でいかしてもらいますんで、なんかあったら自己責任でお願いするッスよ」

「ちょい待っ──」


 とかなんとか思ってると、ラヴィがカイトスを急発進させる。いきなりジェットコースターの急降下に似た重力が押し寄せてくる。


「ナッツ、助かっぜ」

「お礼よりも、運転手に文句言ったほうが良いですよ」


 危うくさっきまでパタパタ動いていたブラッドがフロントガラスまでふっ飛ばされそうになった……ギリギリ、ブラッドを掴めたから良かったけど。

 俺とダイヤはシートベルトをしていて助かった。いや、シートベルトをしていても命の危険を感じたけど。


「お、いたいた、とうちゃーく、ッス」

「ふふっ、カイトス内はフェイタルの襲撃に備えて、耐衝撃仕様になってるので最悪運転席までふっ飛ばされても死にはしませんが……ナツメさん……エチケット袋を……うぷっ……」

「先にこっちにくれんか……うちの方が限界……」


 ダイヤとブラッドの三半規管が殺られた。

 なんで敵からの攻撃は一切受けてないのに、味方サイドがボロボロなんだよ。


「んじゃ、ソルの援護をしてくるんで、吐いた後のゴミは後で処理するで口しっかり締めてまとめて置いといてくださいッス」

「せめてもうちょい申し訳なさそうにしといてください!」


 乗せてもらってる身の上で申し訳ないけど!


「こういう時普段は、紐で固定しとくんッスけど、余裕がなくって」

「同乗者のこと積載物だと思っていらっしゃる!?」

 

 本当にこの人がドライバーで大丈夫なのか心配になってくる。

 形ばかりの反省のポーズをとったあと、ラヴィは自分の装備を整え颯爽と運転席を降り、ソルのもとへと駆け寄る。


「早ない?」

「愛しのソルのために飛ばしてきたんッスよ」

「中の連中のことも考えたれや……」


 良かった。ソルの感性は意外とまともだ。

 もしかしたら、ラヴィとフェスタってフォルトの中でもヤバい方なのかもしれない。


「今はそれより、あのいけすかねぇ真っ白野郎ッスよ。どこいったの?」

「ウチの目が見えんことをええ事に、手放した隙にどっか行きよった」

「ありゃりゃ、それじゃアタシの出番ッスね。皆、耳塞いでてくださいッス」


 ラヴィは車を降りた際に持っていたケースから己の武器を取り出す。

 ギター。そういう名前の剣とかじゃなくて六弦あるエレキとかアコースティックとかの種類がある楽器のギター。

 いや、懐中電灯が武器として機能してたり、ゲームだと割とよく見かけるせいで俺の感覚が麻痺してるだけで普通に考えてギターを武器とするのはいかがなものかと思うが。

 一体どのように使うのだろうと、考えていたせいで、事前に彼女が『耳を塞げ』と警告したことを失念してしまっていた。そのせいで、俺は忘れられない恐怖を刻み込まれることになる。


『こそこそしてんじゃねぇぞ、腰抜け野郎ッ!!』


 彼女の指が弦に触れると、世界から彼女の放つ音以外聞こえなくなった。

 空気が、森の木々が、車体が、そして、俺自身の体が激しく揺さぶられ鼓膜を通し、胃や心臓、ありとあらゆる内臓が、機能不全を起こしたかのように痙攣を起こし、抑えようのない嘔吐感がまたたく間に押し寄せる。


「オロロ……めちゃくちゃだ! なんだあの人!」


 敵味方関係のない無差別攻撃。

 車の急発進にしてもそうだ、事前に警告はしていたとは言っても、限度ってもんがあるだろ。


「一応……彼女の名誉のために言っておきますが、あれは無差別攻撃ではないんですよ……オロロ」 


 三半規管に追撃を受けてダイヤは戦闘不能寸前だ。戦闘に参加すらしていないのに。

 事前に渡されていたワイヤレスイヤホン型の通信機のおかげで爆音の中でも会話が成立する。


「ラヴィさんに我々を傷つける意図はないはずです。長い目で見れば、我々の安全を守るための行動なのです……」

「現在進行系で半死半生の人に言われても説得力がないです」

「彼女の『増幅イナズマロック』は音を増幅し、広範囲に響かせる能力です。耳元で使われない限りは能力自体に殺傷性はありません」


 ホントに? ブラッド泡吹いて倒れてるけど?


「じゃあ、なんのために、あの人はいきなり野外ライブを?」

「あの爆音は、ソルさんの『目』になるからです」


 その答えはすぐに本人たちが示してくれた。


「ソル、10時の方向、距離50」 


 ラヴィは明後日の方向に指をさす。


「あいよ!」


 ソルはラヴィの指示を疑うことなく、指定された方向へ槍を投げ、地面にクレーターを生み出し、ギターの爆音に負けない破壊音と共に飛翔する。視力のハンデなど存在しないかのように、その一連の行動に迷いはなかった。

 ラヴィが『発見』した方向を見ると、暗闇のなかで微かに動く人影が見えた。

 見えたと言ってもとても明け方の薄暗さでは目を凝らしても、それが人間かどうかも判断が付かない程微かにだが。

 ギターをかき鳴らすラヴィは自分の演奏に浸っているかのように目を閉じている。 


「エコロケーションか……!」

「御名答」


 コウモリとかが周囲の状況を把握するために使うアレだ。盲目の人間も舌で音を鳴らしながらエコーロケーションで障害物を判断するらしい。

 

「ラヴィさんが放つ騒音でやることで、目よりも広範囲の状況把握ができるってことですか」

「ソルさんは盲目となって日が浅いこともあり、エコーロケーションの精度は決して高くはない。彼女一人だけでは全盛期ほどの脅威はありません。ですが、ラヴィさんが放つ『音』の力でサポートを受けることで『魔王』と呼ばれた全盛期に匹敵する実力を発揮できるのです」 


 いつのまにか投擲した槍に追いつき流れるような動作でそれを掴み取る。


「そこか」


 一瞬でジェットの至近距離まで詰めたソルは、微かな気配を察知し拳を振るう。


 拳が命中したそれは、風船が割れたような破裂音と共に木っ端微塵となった。


「……外してもうたか。細かい調整はまだまだやな」


 それは、ジェットが身を隠していた山林の広葉樹。

 その幹に巨大なドリルで穿ったような穴が生まれ、思い出したかのように倒木する。


「ヒッ……」


 息を殺していたジェットはその光景に思わず小さな悲鳴を漏らす。魔王の拳の破壊力。そして、数センチずれていた時の自分の姿を想像して。


「すまんなぁ、細かいところまではよお分からんさかい。無駄にビビらせてしもうた──次はちゃんと当てたる」

「はぁ……はぁ……」


 おそらく、ジェットの頭に過ったのは『逃走』だが、それを行動に移さない。

 その行動は意味を成さないから。逃げる方向は爆音のセンサーで筒抜け、そして、逃げる速度よりも速く魔王は追いつく。

 

「ま、待って――」

「嫌や」


 鋼鉄の腕はパチパチと火花を鳴らしている。ラヴィがかき鳴らしていた騒音に比べれば風の音のように静かなそれは、彼にとっては何よりも忘却しがたい魔王の足音に違いない。

 破壊の権化がジェットの鳩尾に襲い掛かる。

 

「一丁上がりぃ」


 ソルの拳がジェットに命中する寸前で俺は思わず目を背けてしまったが、グロテスクな音は通信機から聞こえなかった。


「人間殺したらマズいことになるさかい、ちゃーんと手加減したったで、それでもコイツにとって『忘れられん』思い出になったやろ」


アーカイブファイル 016

ソラリス・アストレア (制限解除)


ステータス S〜E 

火力:S 耐久:S 敏捷:A 指揮:E 支援:E 射程:D


ソラリスがラヴィによって制限装置から解き放たれた状態。

かつて『魔王』と称された全盛期よりも劣ってはいるものの、人類において彼女を止めることができるのは聖剣使いのラヴィのみとされており、他の『聖剣』よりも数段高い実力を誇る人類の最終兵器。


『魔王』時代に扱っていた『平等』の能力は生身の両手を失ったと同時に消失したが、新たに目覚めた『一途』の能力で、条件を満たした地点に瞬間移動ができる。彼女の持つ槍、対運命兵装ロンゴミアントは能力の発動条件を満たしており、投擲して瞬間移動を繰り返し嵐のように戦場をグチャグチャにする。


盲目のハンデがあり、近くに味方がいると彼女の巻き添えを食いかねないのだが、ラヴィのエコーロケーションでサポートするか、敵地に単独で放り込むなどしてハンデを克服している。

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