エピソード3.5 外国からの注目
〈エピソード3.5 外国からの注目〉
留美が学校からの帰り道を歩いていると、外国人と思われるレポーターが留美にマイクを向けてきた。
「私たちはアメリカのBBC放送局の者です。あなたは、この町でテロが起きたことを、どう思われていますか?」
流暢な日本語で女性レポーターは尋ねてきた。
その後ろにはカメラマンの男性もいて、留美の顔にカメラを向けている。
「そ、それは」
留美はカメラを向けられて緊張してしまい、呂律が回らなかった。
「最近、この町では警察官や自衛隊が警備をしていましたよね。つまり、日本政府はテロが起きることをあらかじめ知っていたのではないですか?」
「かもしれません」
それはあるなと留美は思っていた。
政府は化け物のことも知っているに違いないし、テロのようなことが起きるのも予期していた可能性は極めて高い。
「テロの被害に遭ったのはクライスター社のビルだけではありません。その近くにあった商業施設も巻き込まれました。このことをどう感じていますか?」
「こ、怖いですね」
素直な言葉だが、レポーターはもっとオーバーな反応を欲しがっていたようだ。
なので、渋い顔をして、質問を続けてくる。
「でしょうね。今後、テロが起きないという保証はありませんし、あなたはどういう心持で生活をしていくつもりですか?」
「そんなことを言われても」
留美は何も知らない外国人だから、面白おかしく取材ができるのだろうと憤慨していた。
こういう連中にこそ、この町に出る怪物のことを知ってもらいたい。
そうすれば、今みたいな余裕のある態度での取材はできなかったはずだ。
そんなことを考えていると、自衛隊の制服を着た男性たちが、こちらへとやって来る。
「そこのお前たち、政府の命令で、あらゆる取材行為は禁止されている。速やかに取材行為を止めないと連行するぞ」
自衛隊員の男性がそう言うと、外国人のレポーターとカメラマンは舌打ちして留美から離れて行く。
一方、自衛隊員と視線を交わした留美は背中で緊張の汗を掻く。
「現在、この三崎市は厳戒態勢にある。学生は学校が終わり次第、速やかに帰宅するように」
そう横柄な感じに言い聞かせると、自衛隊員たちは留美の傍から離れて行った。




