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エピソード2.5 図書室での仕事

〈エピソード2.5 図書室での仕事〉


 留美は図書室で新刊コーナーの整理をしていた。


 事件のせいか、放課後の図書室に生徒たちの姿はない。


 いつもなら貸し出しカウンターの奥の個室にいる司書の先生も見当たらない。


 そのせいか、図書室は不気味なくらい閑散としていた。


 留美は仕事を片付けると、個室の中に入る。それから、電動ポットで湧かしたお湯を使って紅茶を入れ始めた。


「もし、修一さんがクライスター社の本社ビルに居たらどうしよう。あの瓦礫に埋まってたら絶対に助からないよ」


 留美は瓦礫の山と化した本社ビルの光景を思い出すと紅茶に口を付ける。


 すると、暗澹とした気分も少しだけ和らいだ。


「修一さんに全ての原因がある、なんて考えは強引かもしれないけど、もし、それが本当だったら?」


 留美には修一が一連の件の中心にいると言う、強い確信のようなものがあった。


「修一さんの親友の杉浦康太さんには接触できるかもしれないと思っていた矢先にこれだよ」


 留美も修一の実家から借りてきた卒業アルバムを使って、康太の家族に連絡を取った。


 が、康太は一人暮らしだったらしく、家族も康太の安否は確認できていないらしい。


 なので、電話に出た康太の母親は随分と動揺していた。


「何と言うか、計算高い悪意のようなものが感じられるね」


 誰かがコンダクターのように指揮棒を振っているように思えるのだ。


 警察官を殺した化け物はその先兵だと考えられる。


 裏では、もっと凄い化け物が暗躍しているかもしれない。


「もし、ライトノベルみたいに修一さんが異世界に行っているとしたら、何て考えは荒唐無稽すぎるのかなー」


 でも、異界の入り口のようなものからモンスターは現れた。


 あの空間の割れ目の中に入れば、修一がいるかもしれない世界に足を踏み入れられる可能性はある。


 もっとも、そんなことをしたら、この世界に戻って来られなくなるかもしれないが。


「でも、モンスターと戦ってる修一さんは格好良かったな。あれが修一さんの姿だって言うなら、会ってみたいよね」


 何だかんだ言って、留美は修一に一角ならぬ好感を持っているのだ。


 その理由は、自分でも判然としないのだが。


 だが、それが修一を探そうとする大きな原動力に繋がっている。


「もう一度、喋る猫さんが現れてくれないかな。取っかかりがあるとすれば、あの猫さんだけだし」


 アリスの物語のように、あの猫が自分を不思議な世界に案内してくれると、この時の留美は思っていた。


 が、こうして日常の香りがする学校にいると、あの猫は夢の中の存在のように思える。


 留美はもう一度、何か大きなことが起きて欲しいと思いながら、紅茶のカップを空にした。

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