第 十四 回
火をすごく焚く。
トラックに、ほとんどまるごと積み込む感じの丸太を、頑張って八本分。
ゾンビがいなさそうな場所から、できるだけ二人で取ってきた。
もう、最悪襲われても実力で、闘おう。
逃げるぐらいはできる。
火はゴウゴウと燃え上がる。
私は危なくないぐらいに『ゾンビの雰囲気』を集中して、いった。
「悪魔、悪魔。悪魔よ。火の悪魔、火を司る悪魔」
…頼むから、つながれ。
{なんだ、ゾンビの力を持つ人間}
き、来た。私の意識と、交信をしている。
瞼を閉じると少し、アセってしまう。
絵本に出てきそうな、紙を切って作った感じの悪魔のシルエットが、動いてくれる。(人間に理解しやすいようにしているのかもしれない。チョイチョイ白でできた目でリアクションも、少し分かる)
まさか、本当に、できるとは。
{この爆弾がお腹にある、ゾンビ君の爆弾の火が付いた瞬間に綺麗に、燃えている火を傷にならないように優しく消してくれ}
悪魔は普通に、大して面白くなさそうな反応で、言った。
{フン…なんだそんなことか…}
悪魔的には、人間のギトギトッとした欲が爆発したような願いの方が、聞くとき面白かったんだろうな。…滅多に、そんなに多く呼び出されないだろうし…。ほんのちょっと僅かだけど、まあ分かる。
{こういう願いじゃ、ダ、ダメか?}悪魔だからな…。
{構わん}オッケーなんだ…。客を選ばない商売人みたいなところもあったりして。意外と気さくであったりとか…。怒られるか?
{見返りは?}
ここが重要な、部分だ。命とかに、なってしまうと、酷くてえげつない。せっかくなんとか助かったゾンビ君の命とかにされると、意味が全く、ない。
{…貴様の寿命を九十日。それで手をうとう}
{いいの…悪魔がそれだけで…}
{ナニ、ゾンビの力を持つ人間なんて特殊過ぎて、その程度ぐらいしか欲しくない}
意外と親切だ。もしかしたら運が良くって、っていう、理由だけかもしれないけど。ここはやっぱり親切で良い。
{よしっ、手をうとう}
ゾンビがいるなら、悪魔もいる。私のアイディアも中々いいと、正直、思っていた。
続く




