完結篇 前篇 序章 素戔嗚(スサノオ)
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空母[やまと]から発艦したSH-60Kは第2部長の笠谷尚幸2等空佐と北井明里3等空尉を乗せ、航空護衛艦[ながと]に向かって飛行していた。
「第2部長。間もなく、[ながと]に着艦します」
機長の声に、笠谷は目を開けた。
「了解」
笠谷は短く答えた。
SH-60Kは旋回し、[ながと]の後方に回り込むと、着艦コースに入る。機長は[ながと]の管制室に通信した。
「ブラック・キル3より、[ながと]へ、着艦コースに入った。着艦許可願う」
「[ながと]より、ブラック・キル3。着艦を許可する」
「ラジャ」
SH-60Kはそのまま、航空護衛艦[ながと]に接近し、広大な飛行甲板に着艦した。
着艦したSH-60Kから、空自(航空自衛隊)の飛行服姿の幹部2人が降りるのであった。
「お待ちしておりました。笠谷2佐」
2人を出迎えたのは中年の3佐であった。
「見島教官」
笠谷はその男の事を知っていた。彼がF-15のパイロット候補だった時の教官で、いろいろと世話になった。
「教官はよしてくれ」
見島はいつもののように笠谷に接した。
「見島3佐。私たちに渡したい機体というのは?」
「ついて来てくれ。格納庫の中に収納してある」
見島はそう言うと、笠谷と北井を連れて、[ながと]格納庫に案内した。
格納庫の隅に、カーテンで仕切られているところを通り、2人はその機を見て驚いた。
「これは」
最初の一声は北井だった。
笠谷たちの前にある機は、一見すると米空軍のF-22[ラプタ]に似ているが、違う。
「F-0[素戔嗚]」
見島が言った。
米空軍からの技術供与と日本が誇る技術者たちが総力を決し、開発された国産の第6世代戦闘機F-0だ。
F-0[素戔嗚]は艦上戦闘機として開発された複座型のステルス機。
艦上機であるためF-22より、少し大型化されている。
「F-15の教官を降りて何をしているのかと思っていましたら、まさか、試験飛行群にいましたか」
「まあな」
見島は苦笑しながら、答えた。
「しかし、第6世代とは・・・F-3[心神]でさえ実戦配備されていないのに?」
「上の思惑というやつだ」
「水島司令?」
「F-3計画は、一種の隠れ蓑だ。防衛省は世界に先駆けて、第6世代の開発を密かに進めていたのさ。コイツは言わば現代の零戦だ。もっとも、コイツは試作型だがな。東南アジアで試験演習を行う予定だったんだが・・・運がいいのか悪いのか・・・」
水島は、微苦笑を浮かべながら、説明をする。
その時、飛行服に身を包んだ青年が現れ、見事な挙手の敬礼をした。
「航空自衛隊試験飛行群テストパイロット香西慧3等空佐です!」
「第1統合任務艦隊第1空母航空団第2部長の笠谷だ。こっちは北井」
笠谷が答礼する。
「はっ!2佐の事は存じています。F-15Jのエースパイロットであり、01隊を育て上げた、
一流の指揮官」
香西の言葉に笠谷は苦笑した。
「前職の204飛行隊では、中国の領空侵犯の緊迫した空気を経験しています。足手まといにはなりません。補助の来島2尉と共に、2佐のウイングマンを務めさせていただきます」
香西は再び挙手の敬礼をした。
「そうか、よろしく頼む」
「見島3等空佐、および試験飛行群4名のパイロットは、明日付けで[やまと]への転属を命じる。笠谷2佐、1人どうしょうもないのがいるが、しっかり使ってやってくれ」
「了解しました」
「今度は[フランカー]に、目に物を見せてやれ」
水島が、にっと笑う。
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次回の投稿は今月の18日までを予定しています。




