第2次ラペルリ攻防戦 終章 亡国のレギオン
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
新年早々、早くも不運に見舞われました。天ぷらを揚げていると油がはねて、顔面に直撃しました。イージスシステム(鍋の蓋)働きませんでした(笑)。家庭内の事故に、みなさまも十分にご注意ください。
ミレニアム帝国帝都ネオベルリンの皇宮謁見の間で、皇帝ルドルフ・フォン・ゲルリッツ元帥は直属の部下たちを集め、演説していた。
「諸君、諸君らもすでに周知の事だが、第2次ラペルリ侵攻作戦は失敗した。[アヴァロン]は失われ、多くの将兵を失った」
水を打ったように静まり返った部下を見回して、彼は言葉を切った。
「私は、あえて問おう。我らに義はなかったのか?あの、アメリカとその飼い犬に成り下がった極東の黄色人種に義があったのか?・・・否!断じて否!!貴奴らの行いを見るがいい。我らが敬愛する総統閣下が忌み嫌い、開発を拒んだ悪魔の兵器を使用し、私の忠実なる同胞をその業火で焼き払った。貴奴らのどこに義がある?この、戦いには敗れた。それは認めよう・・・しかし、我らは敗れてはいない!!なぜなら、我らの総統閣下が掲げた理想を拒んだ世界は滅びを迎えようとしている。あの大戦で勝利した低能どもの醜い心が、その引き金を引いたからだ。結局、連合国と称した者どもがもたらしたのは、秩序と平和ではなく、新たな対立と混乱に過ぎなかったのだ」
再びルドルフは部下を見回す。
「私は宣言する!我らは最後の1人になろうとも必ずや貴奴らを駆逐し、この世界に総統閣下の理想を実現させると・・・いかなる犠牲を払おうとも、真の平和をもたらすと!諸君!!諸君らにその覚悟はあるか!?」
ルドルフは部下たちに問うと、彼らはナチス式の敬礼をし、叫んだ。
「「「ハイル・ヒトラー!ハイル・ヒトラー!!ハイル・ヒトラー!!!」」」
「よろしい!私もまた諸君らと共に戦列に加わろう」
ルドルフの言葉に部下たちは歓声を上げた。
「私は約束した。諸君らは最後の一兵が死ぬまで戦うのだ。我らの理想を現実とするために!!」
ドイツ軍人たちが歌い始めた。
勝利を誓い、進撃するために。
その強い歌声は謁見の間を支配する。
その歌声は彼女の元まで届いた。
「我が妹、エレオノーラよ・・・聴いておるか?視ておるか?1つの世界を破滅させ、平行世界全てのバランスを崩してまで救おうとするこの世界・・・もう1つの世界の入口は、その世界の人間の愚かなる考案物ですでに消滅したことを・・・その反動でこの世界も少しづつ崩れている事を・・・2つの軍勢の争いが長引けばそれだけ世界の崩壊は早まる。望んで己が世界を捨てたレギオンと、望まずに己が世界との繋がりを絶たれたレギオン・・・それが消えねば、世界は救えぬ」
彼女の口許に冷ややかな嘲笑が浮かぶ。
「・・・世界を滅ぼすのは果たしてどちらの軍勢か?・・・還る世界を失いし者ども、亡国のレギオンよ・・・」
満天の星が輝いている。
[やまと]の後部通用甲板で1人、笠谷は夜空を眺めていた。
「・・・・・・」
満月の光が海上を照らす。
「尚幸さん」
背後からかけられた女性の声に、笠谷が振り返った。
「松野か」
笠谷は女性自衛官の名を呼んだ。
「首席幕僚に尋ねたら、ここにいるって聞きました」
松野がそう言うと、彼の隣に立った。
しばらく一緒に星空を眺めていた。
「・・・私たち、もう帰れないんですよね・・・」
「・・・そうらしい・・・」
「・・・・・・」
「松野、君のお父さんとお姉さんは、こちらにいるが他に家族はいるのかい?」
「はい、妹と母が・・・」
「そうか、無事だといいな・・・」
元の世界がどうなっているかわからない。考えれば考えるほど悪い事が思い浮かぶ。
「尚幸さん・・・」
急に松野の声が耳元で聞こえた。
「!?」
振り向いた笠谷の唇に、松野は自分の唇を軽く押しつけた。
「・・・フ・・・ファーストキス・・・です」
驚く笠谷に、プイと顔を背けながら松野は顔を赤らめて小さな声でつぶやいた。
第2次ラペルリ攻防戦終章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回は番外編です。




