逆襲 第8章 再会
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です
米海兵隊の撤退を待ち、艦隊は戦闘配置のまま、待機していた。
そんな時、[ながと]の通信士が絶叫して報告した。
「し、司令!首席幕僚!つ、通信が!」
「どうした。日本との通信が回復したのか?」
水島が問うと、通信士が首を振った。
「い、いえ!これをお聞きください!」
通信士がCICのスピーカーに繋いだ。そして、驚くべき通信が入った。
「こちら第1統合任務艦隊所属イージス艦[あさひ]、航空護衛艦[ながと]、応答願います」
[ながと]のCICにいた者たち全員が顔を見合わせた。
半年前に消息を絶った艦隊の護衛艦から突然の通信が入ったのだから、驚くのも当然の事だ。
「こちら第2統合任務隊旗艦[ながと]、本当にイージス艦[あさひ]なのか?」
水島が立ち上がり通信機に飛びつき、返答する。
すると、一瞬置いて、応答があった。
「第1統合任務艦隊首席幕僚の佐藤修一2佐です」
通信機から、若い男の声が流れてきた。
「[あさひ]・・・そうか・・・生きていたのか・・・」
呆然とする一同の中で、水島は小さくつぶやいた。
[ながと]の飛行甲板に発着艦誘導員のライトに従って、1機のSH-60Kが着艦した。
イージス艦[あさひ]から発艦したSH-60Kだ。
機内には、首席幕僚の佐藤、艦長の稲垣海夫1等海佐、同行者として准海尉1名そして、来島3佐の姿があった。
佐藤たちは夏服姿でSH-60Kから降りて、出迎えに来た水島と三枝、[ながと]艦長と顔を合わせた。
「君が、佐藤2佐か」
佐藤たちに水島は挙手の敬礼をした。
(なかなかの美人さんですね、それに若い・・・42歳で隊司令なんて、異例の抜擢じゃないですか・・・)
佐藤の水島の第一印象はそれだった。
「君に会うのは初めてだが、話は妹からよく聞いている」
「はい?妹さん?」
誰?と思った。
「なんだ、聞いていないのか、私の旧姓は来島だ」
その瞬間、水島の言葉の意味を理解した佐藤は唖然となった。
佐藤が稲垣に、肘で突かれて我に返るまでにどのぐらいかかっただろうか。
「い・・・稲垣艦長・・・事実ですか?」
「事実だ」
「・・・・・・」
小声で囁き合っているうちに、水島は来島の正面に立っていた。
「お前たちが消息不明になってから、半年だ・・・」
「・・・姉さん・・・」
「多聞も無事なんだな?」
「はい・・・」
バシッ!!!鈍い音が響いた。
平手打ちなどと生易しいものではなく、殴り飛ばされて来島の身体がグラリとよろめいた。
「3佐!」
倒れかかった来島を、隣にいた准海尉が慌てて支える。
「水島司令、何を!!?」
稲垣が、来島を庇うように2人の間に割って入った。
「父さんと母さんがどれだけ、心配していたと思っている!!」
「・・・ごめんなさい」
水島の予想外の暴挙に全員が固まる中、三枝はヤレヤレといった感じで肩をすくめた。
「2人の事を一番心配してたのは貴女だったと記憶してるけど・・・もう少しで防衛省に殴り込みをかける勢いだったじゃない」
「・・・んなっ!!」
「ホント・・・あの時は止めるの大変だったのよ・・・わかるでしょ、稲垣君」
「・・・想像できます・・・」
水島を知っているであろう稲垣が、ため息をつきながらつぶやいた。
「ホラホラ、言うべき事があるでしょう」
「・・・生きていてくれて、本当に良かった」
小さな声で、水島はつぶやいた。
予想外の展開に、呆然となった佐藤だが、水島の最初の言葉を確認するようにつぶやいた。
「元の世界では半年も過ぎているのですか・・・」
出迎えた自衛官たちは佐藤の言葉を聞き逃さなかった。
「詳しい話は多目的室で聞く事にしよう。ではこちらに」
水島たちに案内され、佐藤たちは多目的室に通された。
多目的室には、各艦の艦長、米艦隊の司令、艦長、海保の巡視船船長、海兵隊遠征隊指揮官、水島の幕僚、防衛省の文官、陸自部隊の指揮官、その幕僚である。
「佐藤2佐。手掛かりが1つも見つからなかった君たちが突然現れて、衛星通信や本国との通信はおろか、GPS等も使用不能になるのはどういう事だ?先ほど君が言った事も気になる。いったいどういうことだ?」
水島がここにいる最高指揮官として、尋ねた。
「実はですね、この世界は私たちが暮らしていた世界ではありません。平行世界の1つ、つまり異世界です。貴女がたは我々と同様、この異世界に飛ばされたのです」
佐藤は前回の教訓から、いきなり爆弾を炸裂させることにした。
多目的室内は水を打ったように静まり返った。
佐藤たち以外の者は、受け入れる許容量を超えて、呆然としている。
水島だけが、なぜか納得をしたような表情をしていたが・・・
(うーん。刺激が強すぎたか・・・)
佐藤は心中で反省した。
彼は、おほん、と咳払いして、第2統合任務隊を含めた、その他の者たちを見回して、佐藤は説明を始めた。
「ここで1つ、冷静になって考えてみてください・・・」
「司令はどう思います?」
佐藤たちの説明を聞いた後、彼らに士官予備室に移ってもらい。自分たちだけで議論する事にしたのだ。まず、ここにいる者の中で最上級である水島の意見を聞く事にした三枝はそう切り出した。
「私は佐藤2佐の言葉を信じる」
水島は出席者たちを見回して、そう言った。
1部の者たちが水島の意見に驚いた表情をするが、彼女は気にせず続けた。
「我々に起こった理解しがたい現象を冷静に推測すれば、すべてのつじつまが合う。我々は・・・いや、我々も平行世界に飛ばされたのだ。それに佐藤2佐の仮説は私も知っている」
「そ、そんな馬鹿な!」
幕僚の1人が、声を上げた。
「では、ヘリを襲撃した、あの生物をどう説明するのです」
意外なところから声が上がった。
防衛省の文官、諫早歩生だ。
「異世界に飛ばされた、なんて、自分には理解しがたいですが、ここまで証拠を見せられては、そうだろう、と思わざるお得ません」
平行世界に漂流した事を納得した者たちは一斉にうなずいた。
「佐藤2佐とは、面識はありませんが稲垣1佐は私の上官だった時もあります。稲垣さんは嘘をつく人ではありません。まぎれもない事実という事です」
イージス艦[はつせ]艦長の大津祐基1等海佐が言った。
彼は第1統合任務艦隊所属ミサイル護衛艦[はつかぜ]艦長の大津健史2等海佐の従弟である。
「「「・・・・・・」」」
現実を突きつけられ、異世界に飛ばされた事を否定していた者たちが黙る。
すでに、第2統合任務隊はSH-60Kを1機失っており、3名の殉職者(戦死者)を出した。もはや、現実と認識するしかない。
「佐藤2佐たちを呼んでくれ」
水島の指示で、幕僚の1人が艦内電話で佐藤たちを呼んだ。
「結論は出ましたか?」
多目的室に入ってきた佐藤は水島たちに尋ねた。
水島は上位者として、佐藤たちに答えた。
「・・・とりあえず、異世界に飛ばされたという異常事態は認めよう。しかし、君等と共に武力行使を行う事に関しては、少し時間をくれ」
「わかりました。それではフリーダム諸島に向かいますね?」
水島はうなずき、フリーダム諸島に行く事を決めた。
多目的室を出て、通路を歩いている佐藤たちは背後から声をかけられた。
「佐藤2佐」
佐藤が振り返ると、海保の夏服を着た壮年の男がいた。
佐藤たちは彼の階級章を見て、挙手の敬礼をした。
海保の男は答礼する。
「海上保安庁巡視船[しきしま]船長の松野幸太郎2等海上保安監だ。少しよろしいか?」
「なんです?」
「私情を挟んですまないが、空母[やまと]に所属する松野彩海士長という女性自衛官は無事か?」
それを聞いて佐藤はすべてを察したが、念のために聞くことにした。
「ご家族の方ですか?」
「娘だ」
「ええ、松野彩海士長は無事ですよ・・・それどころか、男とつるんでいます」
佐藤の言葉に、父親は絶叫した。
「何ぃぃぃ!?」
幸太郎は頭を抱えた「長女がまだ男もつくっていないのに、まだ、心の準備があぁぁぁ!」等と叫んでいた。
「佐藤2佐。それは誤解を招きますよ」
准海尉が耳元でつぶやいた。
「いいじゃないですか、おもしろくなりそうなんですから」
佐藤は楽しそうに答えた。
(この人は・・・)
准海尉の心の中で佐藤の株価が大暴落していた。
この後、准海尉が父親に事情を話して、落ち着かせた。
しかし、このイベントはこれだけではなかった。
数分後。
「すみません。第1統合任務艦隊の方ですか?」
従軍記者の腕章と身分証を首にかけた美女が佐藤に声をかけてきた。
一目で彼女が笠谷の妹である事がわかった。似ている訳ではない。
笠谷の私物で、妹の写真があり、それを何度か見せてもらった事があるからだ。
「笠谷真琴さんですね。お兄さんから話は伺っています。お兄さんの事ですよね」
「はい」
真琴がうなずくと、佐藤はとんでもない事を言った。
「かわいい女性や美人をたぶらかしていますよ」
佐藤の言葉に真琴はその意味が理解できなかった。
ようやく言葉の意味を理解した真琴が絶叫した。
「そ、そんな!兄さんが!兄さんが!」
「首席幕僚。そういう人聞きの悪い言い方は」
再び准海尉が佐藤に突っ込み、先ほどと同様に彼が誤解をといた。
「・・・・・・」
同行していた来島が凍りつくような冷たい視線を佐藤に送っていた。
(・・・もしかして・・・怒ってます?)
少々悪ふざけが過ぎた佐藤には、来島の説教という最終イベントが待っていた。
水島は3名の殉職者が安置されている安置室の前で、足を止めた。
躊躇いを感じたが、意を決して扉を開ける。
「・・・・・・」
安置室には先客がいた。
ホワイトバード2の生存者である長瀬川と第4分隊の看護師(女性自衛官3曹)がいた。
長瀬川は車イスに乗り、3人の遺体をじっと見ていた。
水島は長瀬川の隣に腰掛けた。
「よく無事に戻った」
「・・・・・・・」
長瀬川は何も答えない。
「このような事態を招いてしまったのは私の判断が甘かったせいだ。護衛機・・・いや、AV-8Jによる偵察であれば、防げたはずだ。すまなかった」
「・・・・・・」
水島の言葉に長瀬川は何も答えなかった。
彼女の顔を見る。彼女の頬には涙が流れた跡があった。
水島は何も言わず静かに手を合わせる。
彼女の心には、深い後悔があった。
自分が判断を誤ったばかりに、3人の犠牲者を出し、長瀬川に一生消えない心の傷を、つけてしまった。
米軍の協力がなければ、彼女すら救えなかったかもしれない。
安置室の前では、首席幕僚の三枝1佐が立っていた。
「どうするつもり?」
「・・・・・・」
「幕僚は全員、貴女の決断に従うそうよ、もっともこんな異常事態じゃ誰も貴女に代わろうなんて思わないでしょうけど・・・」
「・・・・・・」
「いっそ、ドロップアウトする?第1統合任務艦隊と合流すれば、この部隊は合併されるかもしれない。そうなれば、貴女は必要ないもの・・・板垣海将は、貴女より階級も実績も経験も上、それに、第9護衛隊の秋笠司令は階級は下でも、能力的には十分第2統合任務隊を指揮できるでしょうし、誰もが納得するでしょうね」
言葉は穏やかだが、内容は痛烈だった。
「・・・るか」
「・・・・・・?」
「誰が逃げるか!第2統合任務隊は、私に任された部隊だ。私には乗員全員に対して責任がある!相手が板垣海将でも、秋笠司令でもその点は譲れない!!」
強い口調で言い切ると、息をついた。
「私が無能なのは事実だ、ならその事実を変えるまでだ!ここで逃げたら、犠牲になった3人に顔向けできなくなるからな」
水島は、この時1つの決断を下した。
「・・・ありがとう・・・理子・・・」
少し、恥ずかしそうに礼を言って、水島は三枝に背を向けた。
どうやら、冬眠していた虎を、起こすのには成功したようだ。
水島に対して懐疑的だった幕僚たちも、温度差はあるものの、水島を自分たちの指揮官として認めた。後は、乗員たちを水島に付いていかざるえないように仕向ければいい。
それに、あの諫早は、どういうつもりか、水島に対立するように見せかけて、水島の指揮権確立に動いている。何の魂胆があってかは知らないが、利用させてもらおう。
犠牲になった3人には悪いが、彼らの死は水島の立ち位置を決定的にする好機となった。
この、異常事態を乗り切れる指揮官は水島しかいないと思わせるだけでいい。
板垣海将が自衛隊版の山本五十六?それがどうした。自分の上位者は水島だけだ。
そう思った時、三枝は口許に浮かぶ笑みを抑えられなくなった。
「ナチスね・・・」
佐藤2佐の話でも出てきたが、米海兵隊からの報告も上がっている。
「・・・皮肉なものね、ドイツのおじいさんが憎んでいた、ナチスに孫が会うなんて・・・」
祖父は、自分の父を殺したナチス派を憎んでいた。そして、彼らと3国同盟を結んだ日本人を心底嫌っていた。
説得に説得を重ねて、母と結婚した父も、最後まで祖父と分かり合え無かったと言っていた。
水島がどんな決断を下すかは判らないが多分、自分の予想どおりの決断をするだろう。
そして、都合のいい事にこの世界のナチスの亡霊には足があるらしい。
「おじいさん、ひいおじいさんの無念、この私が晴らせそうよ。そうすれば日本人の事少しは見直してくれるかしら・・・」
彼らは気付いていないだろう、怒らせてはいけない虎の尾を踏んだ事に。
後は、ほっておいても虎は、人食い虎と化し亡霊どもを喰らい尽くす・・・自分は、それを、補佐する・・・それでいい。
翌日。
[ながと]の飛行甲板には、第1種夏服の士官と海曹、セーラー服を着た海士たちが整列していた。
「捧げ銃!」
号令官の号令が響く。
ラッパー音が響く。
整列した自衛官たちが挙手の敬礼をする。
「弔銃発射用意!」
号令官が間を空けて号令を出す。
「発射用ぅー意!」
89式多用途銃剣を先端に取り付けた89式5.56ミリ小銃(折曲式銃床)を一斉に構える海曹士たち。
「撃て!」
弔砲音が一斉に響く。
[ながと]だけではない、他の艦からも弔砲音がする。
3人の殉職した海自隊員たちは、水葬された。
異世界の海に3人の自衛官の遺体が新たに葬られた。
「黙祷!」
自衛官たちが一斉に目を閉じて、心中で冥福を祈るのであった。
ただ、彼らは、この不条理をどうしても納得できなかった。
「黙祷やめ!」
号令官が声を上げたのと同時に、1人の海曹がつぶやく。
「・・・なんで、こんな目に・・・」
それが、きっかけとなって、次々と不満の声があがる。
「元はと言えば、第1の連中が勝手に戦争を始めたからだろ・・・」
「俺たちは関係無いだろ!」
異世界に飛ばされた事については水島が艦隊内通信で全将兵、全隊員、全保安官に通達していた。
もちろん、第1統合任務艦隊のこれまでの事を含めて・・・そして、自分たちが今どういう状況下であるかということもすべて告げた。
その事実を受け止める前に、彼らは仲間を失った。その喪失感と絶望が怒りのはけ口を求めるのは仕方ない事かも知れない。
「どうして、第1の代わりに俺たちがこんな目に合わなきゃならないんだ!!俺たちは戦争なんてする気もないのに!!」
「その通りだ!このまま奴らに付いて行ったら確実に奴らの戦争に巻き込まれる!」
「冗談じゃない、巻き添えはごめんだ!」
海曹たちは、第1統合任務艦隊への不信と憤り、怒りを口にする、収拾がつかなくなりそうだった。
「貴様等、いい加減にしろ!!」
声を上げたのは水島であった。
それは、血の上った海曹たちを一瞬で、鎮める程の威圧感があった。
水島は振り返り、海曹たちを睨んだ。その鋭さにその場の全員が凍りついた。
「確かに第1統合任務艦隊はこの世界の戦争に介入した。しかし、それは不当な侵略を受けていた国民を助けるため、虐殺されかかっていた人々を救出するための武力行使だ、彼らは間違っていない!本来なら国連軍として、バルカン半島で彼らが行なうはずだった事が異世界になっただけだ、私は、板垣海将の選択を支持する!!」
水島の言葉に、大半の者がある程度は平静を取戻したが、何人かは水島自身に不信の目を向けていた。
「私は、水島司令を支持します」
そう言ったのは、防衛省文官の諫早だった。
一番水島に対し、対立的な態度を取っていた彼が、水島に付いた。
さらに、それに同意するように、水島の幕僚たちが一斉にうなずく。
してやったり、と三枝は思った。これで、水島を頂点としての、指揮系統は整った。
こうなれば、多少の不満はあっても乗員は水島に付いていくしかない。
後は水島自身が実績を積み重ねていくだけだ。
「確かに、今回の事は、我々にとって大きな痛手となった・・・しかし、もう一度思い出して欲しい、我々は何のための存在かという事を・・・」
最後に、水島はそう締めくくり、[ながと]の進路の先を見た。
[はつせ]のさらに先を[あさひ]が先導していく。
その未来に、何があるか今はまだわからない。
[あさひ]の後部甲板で、佐藤は海と白い航跡を見ていた。
哨戒任務中に、運良く[ながと]の通信を傍受できた・・・しかし、第2統合任務隊は、大きな痛手を受けた。
自分たちの、とばっちりを受けた事を、彼らはどう思っているだろうか・・・
「佐藤2佐」
声をかけられ、振り返ると目の前に、缶コーヒーが飛んできた。
「オッと!?・・・来島3佐?」
なんとか落とさずに、キャッチ出来たものの、下手をしたら顔面に直撃だった。
「チッ!!」
「・・・その舌打ちは、本気でぶつける気だったと・・・」
「さあ・・・どうかな?」
この人は・・・と、心の中で思った。
来島は、佐藤の横に立ち自分のコーヒーを、1口飲んだ。
「君に礼を言っとこうと思ってな・・・君がこの哨戒任務を進言してくれたおかげで、姉さんと再会できた・・・ありがとう」
真面目な表情で、来島は頭を下げた。
「・・・ど・・・どうも・・・」
改まって礼を言われると、どうも調子が狂う。
「・・・・・・」
「どうかしたのか?」
「いえ・・・俺たちの戦闘に、水島司令たちを巻き込んでしまいました・・・それが少し・・・」
「心配ない、姉ならわかってくれている・・・そして、必ず力を貸してくれる」
「お姉さんを、信じているんですね」
「当然だ、私の姉だからな・・・だから、君には後ろではなく前を向いていてもらわねば困る、我々の首席幕僚なんだからな」
そう言って笑った来島の笑顔は、今まで見た事もないほど優しいものだった。
逆襲第8章をお読みいただき、ありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投稿は今月の25日までを予定しています。