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亡国のレギオン  作者: 高井高雄
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救出 番外編 浄化

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 ミレニアム帝国辺境マルンテニアン区。

 ミレニアム帝国4等市民と3等市民が全体の7割をしめるこの区は帝国に併合されても反帝国意識が根強い。

 5日前、マルンテニアン区で主に2等市民の一部が3等市民と4等市民を扇動し、反旗を翻した。

 辺境治安維持隊は壊滅し、帝都に援軍を要請した。

「現地住民の鎮圧1つできないとは、どれだけ無能なのですか」

 嫌味な口調に嫌味な笑みを浮かべたドイツ第3帝国武装親衛隊(SS)エーレンベルグ大佐(スタンダルテンフェーラー)は、マルンテニアン区を治める男に背を向けた。

「数が多すぎたのです。エーレンベルグ殿、皇帝軍のお力で避難してくる者たちの保護を要請します」

 男は頭を垂れて、彼に頼み込んだ。

 エーレンベルグはようやく振り返り、どこか楽しそうに笑いながらとんでもない事を言った。

「大掃除をせねばなりませんね」

「え?」

 男は顔を上げた。意味が判らなかったからだ。

「私は部屋の中にチリ1つあると落ち着かないのですよ、ゴミはさっさと処分しなければ・・・」

 エーレンベルグは不気味な笑みを浮かべながら、部下の1人にうなずいた。

「な・・・なにを・・・エーレンベルグ殿」

 SSの兵が腰からワルサ―P38を抜き、男のこめかみに銃口を向け、引き金を引く。

「スッキリしましたね。ではこの区の大掃除にかかりましょう」

 エーレンベルグはこめかみから血を噴き出しながら倒れる男を見ながら、言った。

 そして、彼は振り返り、部下たちに言った。とてつもない上機嫌で・・・

「さあ、浄化の儀式を始めましょう」



 エーレンベルグの指示で、展開していた榴弾砲が一斉に火を噴き、町を炎に包んだ。

 榴弾砲の砲撃開始で、歩兵部隊が前進した。

 命令は、男も女も子供も赤子も、すべて殺せ、である。



 ドイツ第3帝国陸軍ミノヤマ・フランク・ブラント中尉(オーバー・ロイトナント)は反逆者たちの一部を追い込み自分が指揮する小隊に包囲させていた。

 フランクは手を上げた。

(幼い子供や赤子もいるじゃないか・・・)

 フランクは本部から反逆者と見なされた者たちを見て、心中でぼやいた。

 だが、命令は命令だ。受けた命を異議を唱えず、遂行してこそ軍人だ。

 彼はそう自分に言い聞かせ、手を降ろした。

 部下たちが一斉にモーゼルKa98K[カービン]やMP40の引き金を引いた。

 銃声が響き、武器を持たない女や老人、子供たちが次々と絶命していく。

「無線兵!」

 全員を射殺すると、フランクは無線兵を呼び、本部に連絡した。

「こちらブラント。殲滅完了」

「了解。隠れている者たちがいる可能性がある。捜索して殺せ」

 本部の命令にフランクは奥歯を噛んだ。

(これだけ殺してまだ足りないのか。貴様等!)

 彼は心中で叫んだ。

「了解」

 フランクは短く答えて無線を切った。

「まったくやりきれん」

 フランクは小声でぼやいた。

 そして、本部の命に従い浄化を再開するのである。

 彼の心中では、元の世界にいた時と同じく、SSがする事に不満が隠せなかった。

(こんな事に何の意味がある!!)

 彼は再び心中で叫んだ。


 救出番外編をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回は新たな艦隊概要と登場人物紹介です。

 次回の投稿は今月の26日までを予定しています。

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