本来のレイラ
レイラは、進路上にいたデモニューマを、ことごとく一瞬で撃破していく。
鎌首をもたげた蛇型のデモニューマがすさまじい速度で食らいつこうとするが、その頭をレイラは手刀で刎ねてみせた上で、もう片方の手で胴体を払いのけそれを飛び越え、すぐ後ろに来ていたT‐REX型のデモニューマも、巨大な咢で彼女を呑み込もうとしていたのを躱しつつ、髪の先についたペグに似た部品をつまんで伸ばし、それをプロレス技の<ラリアット>のごとくデモニューマの首へと叩きつけて断頭する。
実は、彼女のその髪は<超振動ワイヤ>であり、彼女の世界では最高の強度と硬度を持つ金属さえチーズのように切り裂く強力な武器だった。なので、生物の体など、それこそ骨すら豆腐と変わらない。
さらに続けて、獅子型のデモニューマ三頭が一斉に襲い掛かってきても、それぞれの頭蓋を<四本貫手>で連続して貫いて瞬殺。
立ちはだかる象型のデモニューマについても、さらに加速して跳び上がり、両手を組んで大きく振りかぶってハンマーのごとく頭に叩きつけると、
「ゴシャッッ!!」
という音と共に陥没。即死だった。
そのまま体を前方に回転させて象型のデモニューマの背を転がって超えて地面に着地しようとしたレイラを、空から急降下してきた翼竜型のデモニューマが巨大なくちばしで捕えた。
が、彼女はそのくちばしをがっちりと掴んで両手を大きく広げると、くちばしごと頭が裂けて、地面へと落ちる。
そこに、レーザー光を発振する犀型のデモニューマの一斉砲撃。けれど一つとして直撃はさせられず、逆に味方であるはずのデモニューマらを切り刻む結果となった。もっとも、あちらは<フレンドリーファイア>などまったく気にもしていないようだが。
おそらく、<個の意識>というものがないのだろう。姿形は様々でも、それら全体で一個の個体であり、いわば一つ一つは細胞のような感覚なのかもしれない。敵を撃破するためなら、いくらでも使い捨てるということか。
レイラはその事実にさえまったく動じることもない。なにしろ、<ロボット>なら当然の思考だからだ。いくらでも代わりがいる、用意できる、生産できるロボットは、使い捨てられても何も気にすることはない。機体など、簡単に替えが利くのだ。
それは、レイラも変わらない。この世界には彼女は一体しかいないものの、本来の世界には<本来のレイラ>がいるのだから。主人と共に。そのことは確認済みである。
何も恐れることはない。




