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機種名<タリアP55SI>。ツァール社製。機体番号<hgs57317ue>

「中世ヨーロッパみたいな世界だと思ってたけど、アンドロイドもいるんだ? 無茶苦茶な世界だね……」


女性は、レイラを見上げながら、どこか皮肉めいた感じでそう言った。しかしそれは、レイラに話し掛けるというよりは、<独り言>だったのかもしれない。なにしろ、<日本語>だったのだから。


「今の貴女の言葉は、日本語ですね? 貴女は日本人なのでしょうか?」


レイラも、日本語に切り替えて話し掛ける。


「日本人…って……ここにも日本はあるの!?」


「この惑星に<日本>があるかどうかは、私は把握しておりません。ですが、私が運用されていた社会においては、<日本>というのは、地球に今なお存在する著名な国家の一つです」


ここに至って、ようやく女性も察したようだ。


「ひょっとして、あなたもここに転移してきたの……?」


本質的なことを口にする。


「<転移>? フィクションにおいてよく使われる表現ですね。なにをもって<転移>と表現するべきかは私には判断しかねますが、少なくともこの惑星は私が運用されていた惑星とは別のそれだということだけは分かります」


レイラのその言葉に、女性は、


「私は、藤原静香(しずか)。十八歳。大学生。日本人。生年月日は西暦二〇〇三年一月三日。あなたは?」


そう自己紹介した。それに対してレイラも、


「私は、機種名<タリアP55SI>。ツァール社製。機体番号<hgs57317ue>。製造年月日は西暦五八一七年六月十三日。以上が基本データです」


端的に応える。


「西暦五八〇〇年……っ!? あなた、未来から転移してきたの!? そりゃそうか。私がいた時代だと、あなたみたいなアンドロイドはまだできてなかったしね」


<藤原静香(しずか)>と名乗った女性はそう口にしたが、レイラが天測で確認した結果からは、西暦五九〇〇年(プラスマイナス百年)頃の地球に酷似しているという結果が出ている。だとすれば、逆に静香の方が<過去>から転移してきた可能性が高いものの、レイラはそれについては口にしなかった。今の時点でそれを告げてもさらに混乱が増すだけだと判断したからである。


なので、少し話題を変えようと、レイラは、


「ここに閉じ込められて少なくない日数が経っているようにお見受けします。よく、ご無事で」


静香を労わるように言葉を掛けた。


それに対して静香は、


「ああ、私、ソロキャンに出掛けるところだったんだ。だから、食料とか、持ってたし」


と告げる。なるほど、見れば周囲にエネルギーバーの包み紙らしきものや、ゼリー飲料の容器らしきものが散乱していた。加えて、寝袋や、ガスランタンも広げられ、大型のリュックもあったのだった。



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