魔法
<帝政バルラシアム>に入ってからは、人間の姿を一人として見かけなかった。
その代わりのように闊歩するデモニューマを、データ収集がてら撃破していく。
すると、犬や猫に似た<動物>は時折見掛けるものの、それらも、すぐ近くにいれば捕食のためか襲われたりもするにせよ、人間に対する反応と違い、追ってまで襲い掛かるようなことはなかった。その様子からも、デモニューマは、形態に関わらず人間を敵視し襲い掛かるのが分かる。
普通の<動物>では有り得ない生態だった。
それでいて、見た目には、恐竜に似ていたり翼竜に似ていたり獅子に似ていたり犀に似ていたり象に似ていたり河馬に似ていたりと、他の動物と際立って差異があるわけではなかった。ただおしなべて、
『真っ赤な目を持つ』
ことと、
『体色が暗い灰色系』
であるというのが共通点だろうか。
とは言え、同じような特徴を持つ<動物>もいるかもしれないので、それだけで<デモニューマ>だと断定はできない可能性はある。が、人間とみれば問答無用で襲い掛かってくればそれはデモニューマかどうかはともかく脅威であることは変わりないだろうから、対処しなければならないだろうが。
いずれにせよ、
『人間だけを極端に敵視するというのは、明らかに異常です。自然発生した生物が持ち得る形質とは考えられません。ですので、外見や大まかな肉体の構造は<動物>に似ていても、まったく別の成り立ちを持つ<存在>である可能性が高いですね』
レイラはそう判断した。
しかも、
「!?」
まるで<電気ウナギ>のように強力な電気を発生させるものや、レーザーを放つものさえいた。
それぞれ、外見は、恐竜型でありつつ、最初に遭遇したものよりはずっと小型の<ヴェロキラプトル>に似たそれだったり、犀に似た外見ながら背中に異様な<瘤>があって、その周囲の何もない空間から突然レーザーが発振されたりと、レイラが知る<科学技術>や<物理法則>とはおよそ別の理で機能しているのが窺えるものだった。
『なるほどこれが<魔法>ですか……』
彼女はそう判断する。
とは言え、レイラの外装には、敢えて電気が流れやすいようにして足から地面へと逃がすことで内部機構を守る<アース>のような機能が備えられていたり、高出力レーザーでもマイクロセコンドでは溶解しないように対策されていたりするので、最初の一撃さえ耐えきれば後は、
『攻撃の際の挙動を見極め回避する』
という形で対処が可能だったため、<重大な脅威>とは成り得なかったのだった。




